くちびるに歌を

著者 :
  • 小学館 (2011年11月24日発売)
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本棚登録 : 3314
感想 : 666
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すがすがしい感動をあたえてくれる本。この作者の描く青春は本当ソーダ水のようにパチパチはじけてさわやかで、私の心の琴線に触れるのです。
本筋はNHKコンクールに向かって励む物語ですが、みんながみんなきらめく様な生活を送っているわけではなく、
サトルは学校ではいわゆるぼっちで、自閉症の兄がいることを周囲に打ち明けられずにいるし、ナズナは幼いころに父が蒸発し母も亡くし男嫌いであったり、個々に問題を抱えています。
五島列島という小さな島での小さな出来事が絡まり合って、気持ちの変化が生まれていく様子が、良い意味で淡々としています。
方言も相まって暗くなりすぎず瑞々しい印象でした。
課題曲が「手紙~拝啓15の君へ~」で、先生から合唱部へ未来の自分へ手紙を書くよう宿題を出されるのだけど、その生徒たちの手紙を読むときにアンジェラアキさんの声で「手紙」が脳内再生されて思わずうるっときてしまいました。
ラストでもうるうるです・・・。
感動して涙が出るとはこういうことだなぁと改めて思いました。誰かが亡くなって悲しくて出る涙は感動ではない。
読後、しばらく「手紙」が頭から離れません笑

できればナズナとサトルによって仕上げられた自由曲の歌詞も見たかったな~。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中田永一
感想投稿日 : 2017年5月31日
読了日 : 2017年5月27日
本棚登録日 : 2017年5月24日

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