レビュー by eye76さん
天吾と青豆。あけぼのとさきがけ。
ほうれん草が好物のシェパード。空気さなぎ。盲目の羊。
ヤナーチェックのシンフォニエッタ。
ああ、村上春樹だなぁというのと
村上春樹にしては現実感があるなというのと。
村上春樹は、夢中になって読んで、何かすごいものを読んでる、
と思うんだけど、後であれは何であったか思い出そうとすると
何もわからない、
というのを何処かで目にして、本当にそうだと思った。
私は結構そのトリップ感が好きで、
ハルキストというのはもう古い言葉なんだろうけど、そういう人達がいるのは良くわかる。
「何が何だかわかんねーんだわ」という人達も良くわかる(笑)
母国語で書かれてるというのはとても大きいのかもしれない。
私は日本語しか理解できないから、外国文学は当然翻訳を読むわけだけど、
それだとどうしても訳者のフィルターがかかる。
もしこれが翻訳文学でつばさの口からリトル・ピープルが次々と出てくる、
なんて読んだら、「げ、不条理ワールドきたか、、、」
とげんなりしてしまうかも。
でも、母国語で書かれてるから、意図を汲み取ってるかは別として
作者が差し出したものをそのまま受け取っている安心感があるから
現実感と幻想のあやふやな境目を感じる事が出来る。
村上春樹は世界中で翻訳されてて支持も多い、
そのへんどうなんだろうね。ちょっと興味深いな。
この話は不思議なだけじゃなくてミステリー的な
先を急ぎたくなる所もあるからすらすら読めたよ。
相変わらず簡素で清潔な生活の描写が気持ち良いね。
特に青豆の15章の「気球に碇をつけるみたいにしっかりと」
ええわ~。
セックスの描写が多いと言われるけど
村上春樹のセックスって情欲とか性愛をあまり感じずに
「SEX」というのが性行為ではなく性別を表する、
という感じなんだけど、わたしにとっては。
生々しいと感じる人もいるのね、とちょっとビックリ。
青豆とマダムをすごく好ましいと感じるのは、
わたしも男の暴力性を憎んでいるからなんだろうな。
狂気めく程に。
レビュー登録日 : 2012年01月26日
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