レビュー by fallheavenlyさん
自殺に失敗した男が、死ぬのも面倒だし生きるのもいやだし、命なんかいらないや、どうしようと考えた挙句、自分の命を売りますという新聞広告を出す話。
広告に見た客に命を買われ、依頼を遂行していくのだけど一向に死ねず、逆に依頼人たちが続々と命を落としていき、自分はお金だけがたまっていく。
命を売るのも疲れて休養した先で女と出会い、一緒に暮らすことになるが、
女の破滅願望に命の危険を感じるようになり逃げ出す。
しかし他の人間にも命を狙われていることに気づき、見えない敵に襲い来る死におびえ逃げ暮らす毎日。
気づかぬうちに、自分の今までの依頼人が全て繋がっていたことに気が付く。
主人公・羽仁男は、体格もよくイケメンで、鋭い洞察力やらなんやらあらゆる能力を兼ね備えていて、その上性的なテクニックもすごいらしいのだが、なにやら三島由紀夫の理想の自分、もしくは三島由紀夫の自分像が如実に反映されているかのようですこし気持ちが悪い。
もともと三島の作品はナルシシズムが強すぎて個人的には好きではなかったのだけど、
年をとってそういうのもいいかもなと思うようになってきた。
命を捨てることばかり大切にしていた男が、最後には一番命に執着していたという逆転劇。
そして生に執着のない男が、性行為ばかりしている不思議現象。
人間心理の真髄を描いているかもしれません。
レビュー登録日 : 2010年04月17日
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