変わる家族 変わる食卓 - 真実に破壊されるマーケティング常識 (中公文庫 い 106-1)

著者 :
  • 中央公論新社 (2009年10月24日発売)
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本棚登録 : 180
感想 : 16
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著者が行った「普通の主婦」を対象として行った食卓に関する調査から分かった数々の衝撃の事実が書かれている。ケーキやたこ焼きを朝食にしたり、食にこだわっていると答えた人がカップ麺や冷凍食品を多様していたりといった過程における食の崩壊が延々と例示されており、問題提起のような形となっているが、どちらかというと文体は批判的である。こいつらどうしょうもないでしょ、ホント昔はこうじゃなかったのに、いったい何考えてんでしょう、というような著者の主観と偏見がが文の間に終止満ちあふれ、正直うっとうしい。<br /><br />定性調査であるため定量的な数値データは無いが、そもそもその調査の対象となった人達は都市居住者なのか世帯年収はどうなのかというプロファイリングが無く、また特にどのような人達にその傾向が強いかというようなセグメンテーションもないため、マーケティングのデータとしての価値はない。参考程度。<br /><br />但し、定性調査としての踏み込みはそれなりに深いので、例示されている主婦達の声は、現代の主婦のインサイトであろう。特に、第二章で挙げられてる「私指向の主婦達」で語られている対象者達は、最近脚光を浴びている「Mart」の読者達と重なるであろう。彼女達は、創造的なトレンドリーダーとして認識されているが、意外にそのインサイトはこの本の主役となっているこまった主婦の一派であるのかもしれない。唯一この点だけが、本書で役に立ったといえるところである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マーケティング
感想投稿日 : 2010年11月23日
読了日 : 2010年12月17日
本棚登録日 : 2010年11月23日

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