縞子さんの本棚»
只今整理中 ・コメントないのは☆等まだ適当
レビュー by 縞子さん
帯には抱腹絶倒とか書いてあるけれども抱腹することもなく絶倒することも私はなかった。でもしかし全編に渡り読んでいる間中全くもってニヤニヤするの我慢するのが大変で、もしかしたら電車でニヤニヤしていたのかもしれないですけれどもそんなことはさておきまして大変に楽しかったです。私が生きているこのbitterなる今世の味がしました。こんなんだけど不味くはないです。この本もそんなんなんですが決して不味くはないです。というよりも悲しいかななかなかの味わいなのです。一緒にするのもなんですが、とても似たようなもんです。
このお話はアメリカ南部のニーリーという多分にして確実に架空の田舎町が主な舞台であり、沢山の人物が出てきます。出てくるだけでなく、取るに足らぬ些細な個性が充分に記述されています。この点に大いなる満足を得ました。特に劇的でもなく特に何が起こるわけでもないようでいて実は何かが起きているわけですが、そんなことは取り立てて騒ぐべく事柄でもなく、むしろ主には大変に劇的ではないことばかりが延々とつづられていく。がしかし、それが大事。それがポイント。動機やなんかなんて結局後付けでしかなく、物事の理由は全てそこにあるような気がします。なんて思っているうちにベントン・リンチの顔とは相反した平坦なペースでもって一つの劇的な物語はスポットライトを浴びることもないままに終わってゆく。世に起きている事件なんてこんなものだろう。少なくとも私はそう思いました。もう最高です。
この物語は物語るべくして物語られているわけで、物を語るにはまずは周りからというのでしょうか。その物語をその物語らしめる所以は、別にその物自体を語り聞かせることもないのだということがよく現れていました。周りが固まるとおおむね真ん中も定まるというもので、てんでばらばらのようでいて、しかもそのばらばらがそれぞれ面白く、更に結果としてはしっかりと定まった小説でしたが、そのことをとくとくと語って聞かされたわけではないので、自動的に着地点が自分から沸いて出てくるという仕組みでしょうか。
登録日 : 2007年10月10日 22:23:24


コメント
まだコメントはありません。