私達は「肉」を常に食べて生きています。
ステーキなどの形だけでなく、多くの食品には「エキス」として肉が使われているし、薬などにも肉から作られるゼラチンのカプセルが利用されているからです。
言ってしまえば、魚も「肉(動物性タンパク質)」ですよね。
しかし、魚とことなり、牛や豚がどのようにして「いのち」から「商品」の形に変わるのか、知る人は少ないのではないでしょうか。
なぜ、「肉」(皮革製品もふくめて)の製造過程は隠されているのでしょうか。
「知る事」と「忘れないよう思い出し続けること」を訴え、常に当事者意識を持つように説く筆者の論には共感できるところが多かったです。
ただ、屠殺場(東京都中央卸売市場食肉市場=芝浦と場)での、と殺の紹介もありましたが、「なぜ、人々は屠殺のことを知らないのか」という疑問から「汚れ」の話になり、そのまま「差別」の話に転じてしまいました。
大切なテーマではありますが、そっちにズレていってしまったのは期待外れでした……。
「肉」として育てられた牛や豚が「おいしい肉になれて、食べてもらえて幸せ」などというのは人々の欺瞞である、という著者の考えには非常に共感しました。
私達、というか「僕」が肉を食べるから、彼らは殺されるのだ、ということを頭の片隅に置くことが必要だと感じる1冊でした。
この中で、被差別部落関連の書籍として「破戒」が紹介されていたので、どこかで読みたいと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
仕事
- 感想投稿日 : 2017年9月1日
- 読了日 : 2017年9月1日
- 本棚登録日 : 2017年9月1日
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