青年の大成

著者 :
  • 致知出版社 (2011年9月16日発売)
3.88
  • (17)
  • (21)
  • (16)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 220
感想 : 23

 立派な政治家を見れば、自分も大きくなったら、ああいう大臣になろうと思うし、堂々たる将軍を見たら、自分も一つあんな将軍になろうと思う。勝れた演技の俳優、芝居に感激すると、盟友になろうと思うだろう。最近では、野球の選手になりたがるのが沢山いる。娘は美空ひばりとか、某々などになりたがる。これは子供の通有心理で、子供は感激すると何にでもなりたがる、なろうとする。何にもなれる素質を持っている。ところが大きくなると、学校に入る。
 学生時代はまだ∞的なものを幾らか留めておるが、それでもぼつぼつ限定されてくる。法学部、文学部、医学部と、いろいろ限定されてくる。今度は卒業すると、悲しむべき有限的なものになる。実業界へ行く、官界へ行く、教育界へ行く、農業だ、工業だ、そういう方面に限られる。
 もっと徹底して言うならば、何省、何局、何課、何という。これはちょっと淋しいことだ。宇宙と一体である人間が、そういう限定を受けない、無限的なものになる必要がある。
 それは浮世の仕事をも活かせる。これを学問と言い、修養というのである。子供は本当に無限的なものを持っている。宗教的、藝術的、音楽的、あらゆる性質・性能を含んでいる。このすべてを実現することができなくて、現実はその一部を実現し得るに止まる。あとはその肥料になる。だから、少年時代・幼少時代というものは、非常に大切にしなければならない。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年12月29日
本棚登録日 : 2012年12月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする