諸葛孔明は有名ですよね。
ズぅ~~~っと気になっていた人物。
赤壁の戦い(レッドクリフ)でもキーパーソンの一人。
君主に仕える参謀として一級の人物。
策略を用いる天才。
泣いて馬謖を切る。
死せる孔明生ける中達を走らす。
ぼくの持っている彼の知識はこの程度。
・・・・・・
読み終わって、えっ?この程度?
という感想。
レッドクリフの記述も、えっ?っと思うくらい短い。
単に枝葉が湿気ないように雨から守ったという程度。
彼が晩年指揮したという戦いも、スカッとした勝ちは皆無。
逆に、負け戦ばかり。
実際の彼も、三国志の中で蜀漢を安定させようとした夢半ばで亡くなっている。
彼の実績は?
陳舜臣の小説はいつもこうだ。
以前読んだ【耶律楚材】もそうだった。
どんなスゴイ人物で、どんなスゴイ実績を残したのか?
彼はそういう描き方をしない。
逆に避けているとすべきだろう。
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耶律楚材も諸葛孔明も君主に仕える秀才。
二人には共通するものがある。
陳舜臣の小説は、小説の部分を極力押さえる。
架空の人物、架空の会話。
どれも控えめだ。
得意じゃないのか?・・・とさえ感じる。
だが意図的だと思う。
素材も孔明も押しも押されぬ天才的な参謀。
逆にそのスゴさを描かないほうが、本当のスゴさが伝わる。
そんな彼の意図を感じる。
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さて、彼ほどの人物が何故、先頭に立ってリーダーを目指さなかったのか?
かなり若いときから、自分は参謀として君主に仕えるという道を選択する。
彼ほど才能がないのに、お山の対象になろうと目論む人間は沢山いるのに。
それは、秀才と天才の違いだろう。
真のリーダーとなるためには「閃きのある」天才で無ければならない。
逆に秀才は「理詰め」であることが武器だ。
「理詰め」になるほど「閃き」を恐れる。
孔明は、それを知っていたのだ。
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やはりスゴイ男だった。
- 感想投稿日 : 2013年10月4日
- 読了日 : 2013年10月4日
- 本棚登録日 : 2013年10月4日
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