諸葛孔明 上 (中公文庫 ち 3-18)

著者 :
  • 中央公論新社 (1993年10月1日発売)
3.59
  • (40)
  • (48)
  • (92)
  • (12)
  • (1)
本棚登録 : 525
感想 : 42
4

諸葛孔明は有名ですよね。

ズぅ~~~っと気になっていた人物。

赤壁の戦い(レッドクリフ)でもキーパーソンの一人。

君主に仕える参謀として一級の人物。

策略を用いる天才。

泣いて馬謖を切る。

死せる孔明生ける中達を走らす。

ぼくの持っている彼の知識はこの程度。

・・・・・・

読み終わって、えっ?この程度?

という感想。

レッドクリフの記述も、えっ?っと思うくらい短い。

単に枝葉が湿気ないように雨から守ったという程度。

彼が晩年指揮したという戦いも、スカッとした勝ちは皆無。

逆に、負け戦ばかり。

実際の彼も、三国志の中で蜀漢を安定させようとした夢半ばで亡くなっている。

彼の実績は?

陳舜臣の小説はいつもこうだ。

以前読んだ【耶律楚材】もそうだった。

どんなスゴイ人物で、どんなスゴイ実績を残したのか?

彼はそういう描き方をしない。

逆に避けているとすべきだろう。

・・・・・・

耶律楚材も諸葛孔明も君主に仕える秀才。

二人には共通するものがある。

陳舜臣の小説は、小説の部分を極力押さえる。

架空の人物、架空の会話。

どれも控えめだ。

得意じゃないのか?・・・とさえ感じる。

だが意図的だと思う。

素材も孔明も押しも押されぬ天才的な参謀。

逆にそのスゴさを描かないほうが、本当のスゴさが伝わる。

そんな彼の意図を感じる。

・・・・・・

さて、彼ほどの人物が何故、先頭に立ってリーダーを目指さなかったのか?

かなり若いときから、自分は参謀として君主に仕えるという道を選択する。

彼ほど才能がないのに、お山の対象になろうと目論む人間は沢山いるのに。

それは、秀才と天才の違いだろう。

真のリーダーとなるためには「閃きのある」天才で無ければならない。

逆に秀才は「理詰め」であることが武器だ。

「理詰め」になるほど「閃き」を恐れる。

孔明は、それを知っていたのだ。

・・・・・・

やはりスゴイ男だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年10月4日
読了日 : 2013年10月4日
本棚登録日 : 2013年10月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする