ひとごと (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年2月26日発売)
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本棚登録 : 88
感想 : 21

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交通事故で幼い息子を失い、自分を責め続ける妻。ともに悲しみを乗り越えなければならないはずの夫との間には、次第に亀裂が入っていった。一周忌の法要が終わり、夫は躊躇いながらも、妻に意外な話を切り出すが…。(第一話「桜ひらひら」)。幼い息子を虐待して殺した母親を逮捕―残酷な事件のニュースが、人々の心に起こした波紋…。8組の家族の人生の転換期を、鮮やかな手法で描いた感動の連作集。
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「桜ひらひら」 「かたくなな結び目」 「仮面パパ」 「接ぎ木ふたたび」 「親子ごっこ」 「愛情ボタン」 「捨てる理由」 「晴れ、ところにより雨」
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<幼い息子を母親が虐待して殺した>というニュースを縦糸に、八つの家族が横糸となって物語が紡がれている。それぞれの家族には何の関係もなく、完全に独立した物語でありながら、遠目で見ると哀しく愛おしい色調が似通っている。そして最後にちいさな光が見えるのも気持ちが救われる。いまは他人事でも、いつ自分のことになるか判らないような、苦しいものが胸に押し寄せてくる一冊でもある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ま行の作家
感想投稿日 : 2014年6月23日
読了日 : 2014年6月23日
本棚登録日 : 2014年6月23日

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