うーん、難しい。
難解さというよりは、不可解さが際立つ。全て一人称で進んでいくんだけれど、どれも男なのか? 女なのか? そもそも人間なのか? という疑問と一緒に進んでいく。
世界観や設定を詳しく、というのはきっと無粋だろう。だけど、何と言うか落ち着かない。淡々とした、無機質な一人称も一因かもしれない。
とにかく、ディズニーランドに一人で迷い込んじゃったくらいの疎外感とソワソワ感。
それと、読んでいて社会主義的な匂いを感じ取ったものの、社会派というわけではないのかな? 違うな。
性に関する描写をはじめ、私の苦手な汚い・下品なものの描写が結構多くて辛い。けれど、婉曲表現がすごく詩的でさりげないところに助けられた。
不快感を与えないように気を遣っているわけではない気がする。むしろ、率先してそっちの話題を拾っていく感じ。
汚物を汚物としてそのまま受け入れているんだな。不快感を不快感のまま留めておくのだな。この胃もたれの様なむかむかをどうにかしようとしなくてもいいのか。そうか。
作中に似たような言葉があった気がする。すぐに読み直して確認しようという気分には正直ならなかったけど、読み終わってからそんなことを思った。
そういうところは主観だが、著者から女性らしさを感じる。「汚い描写」は女性の方が圧倒的に上手いと思うんだよなぁ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2013年2月15日
- 読了日 : 2013年2月15日
- 本棚登録日 : 2013年2月6日
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