ぬるーい地獄の歩き方 (文春文庫 ま 17-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2002年4月10日発売)
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子役、昆布漁、いじめ、失恋、メディカルアート、痔、若禿げ、付き人。世の中には「公然とつらがれない地獄がある」(@松尾スズキ)そういうなかなかおおっぴらに語られない、というか語らせてもらえない負け組の地獄をおおいに語ってもらいましょうという企画。タレント養成所のヒエラルキーや飼い殺しのシステム、朝昼晩の食事がごはん納豆みそ汁×45日の出稼ぎアルバイト、殺される約束をさせられた宍戸美和公のいじめ体験、付き人の日常など、いままできく機会のなかったぬるい地獄のはなしがきけておもしろい。共感したのは井口昇の「おれもあの首だったかもしれない」という酒鬼薔薇事件をうけての発言。酒鬼薔薇だったかもとか加藤だったかもって人はああいう凄惨な事件のあと大量に湧くのに、淳くんだったかもって人の声はきこえてこないから、そうそうそうだよねむしろあっち側に共感するよねとはげしく相づちをうつ。わたしもおおむね被害者の方に共感してるんですよ。いつもだいたいぶっ殺される側。だからずっと違和感をもっていて。でも新井亜樹にさえしずかに爆笑されていたくらいだからやっぱその感覚って特殊なのかなー。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 対談/インタビュー
感想投稿日 : 2010年12月1日
読了日 : 2010年12月1日
本棚登録日 : 2010年12月1日

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