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フルーツ羽二重餅さんの本棚 > 朗読者


レビュー by フルーツ羽二重餅さん

物語・小説 

しっかりとした「ドイツの小説」を読んだ、という気がします。
ひとりの男が過去から現在へ流れてきた自分の「跡」を見つめるときに、ある地点で交差した別の軌道が見出されます。必然的に歴史の大きくて速い流れに流されて、一致することのなかった他人の軌道をたどる。それは小説のひとつの有効な方法です。
ひとつの大きな歴史の激流が途絶えたように見えたときに、実はその傍流が自分たちの足元を暗渠としてひたひたと侵し続けていることを自覚させられる瞬間の描写。は とせざるを得ないようなその瞬間において、意識は自らの過去を、まるで現在に在るもののように錯覚させ、主人公の意識を混乱させます。
主人公の男は結局救われもせず、そして救われたいと願うような地点もとうに過ぎさり、そして昔から定められた通りに、自らの「跡」は見えなくなっていきます。 登録日 : 2010年01月17日 22:37:24


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