猟奇で耽美でナンセンスなハードロックトリオバンド
人間椅子のギタリスト(ソングライター兼ヴォーカリストの一人でもある)
和嶋慎治氏の自叙伝。
テーマ別エッセイと違って、
当人が幼年期から時系列に沿って来し方を振り返る文章は、
読者としては舞台の一人芝居を観覧する客に近い気分になってしまい、
時折、見ていたいのに目のやり場に困るような、
妙な感覚を味わった。
作品のファンだから、
背景を知りたいと思うのは自然な欲求なのだけど、
知らなくていいこともいろいろあるよね、
というのが正直なところ。
とはいえ、柔らかなトーンで、
しかも非常にこなれた文章表現をなさるので、
あくまで「他人事」として捉えれば
大変面白い読み物につき、
人間椅子リスナー以外の方にもお勧めできます。
大丈夫、曲と違って自伝は
おどろおどろしくないから(笑)。
しかし、若い読者はそうでもないかもしれないが、
薹が立った女(苦笑)が今これを読むとだね、
過去、幼児性の抜け切らない気儘なアーティストに
振り回された女性の、その後を案じてしまうのだった。
そして(話は変わるけど)個人的に気になるのは
時々に耳にする「レコーディング中の怪事」。
人間椅子メジャー1stアルバム制作時にも
発生したのだそうです。
ああいうのって何なんだろうなぁ……。
巻末に対談2本(&シソンヌじろう氏,&みうらじゅん氏)のおまけ付。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ・日記・自伝
- 感想投稿日 : 2017年2月12日
- 読了日 : 2017年2月12日
- 本棚登録日 : 2017年1月1日
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