レビュー by ミナミさん
死ぬつもりなどひとつもなかった健常者である主人公が生き返った場所は、ある意味でこの世から切り離された静寂と騒音の場所、精神病院だった。
彼女はその未体験の非日常の光景を目の当たりにして、それを受け入れることもままならないままただフラストレーションを溜め込んでいく。その中で様々な人と出会い、少しずつその場を受け入れていくとともに、ここに来るに至った自分の内側での出来事たちをも少しずつ受け入れていく。
重要なのは、彼女に、「外」の人物、つまり恋人がいるということ。傷は癒えるが、負う前に戻ることはできない。そこから自らの足で出ていくことは出来るが、そこに入りそこで過ごしたことも、確かな足跡となる。そこから出る時、彼女は「別れ」さえもを振り切って、自らの足を頼りにまた歩き出すこと以外に、もう一度進む道はないと知る。
レビュー登録日 : 2011年11月11日
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