寝台特急六分間の殺意 (講談社文庫 に 1-31)

著者 :
  • 講談社 (1990年7月1日発売)
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感想 : 2
5

〇トリッキーでもなくありえそうなトリックだが、いまは引退のために実現しない列車も多くてそれが物悲しい。
表題作を含む、5編の短編集。

・列車プラス・ワンの殺人
小学校で殺された会社員。動機のある服部はアリバイがあり、その時間では殺害できるはずもないのだが――この時代でないとあり得ないこのトリックはまさしく「プラスワン」。作者の取材力。

・死への週末列車
列車内で殺された男。動機がありそうな中村は無実の罪を着せられそうになるが、列車が雪崩の影響で止まってしまい――缶の指紋トリックも犯人側の思うつぼになりそうになりながらも最後は容疑者の記憶頼み。ゆぅトピア和倉がとても懐かしい。

・マスカットの証言
東京駅で殺された死体のポケットに「マスカット」が入っていた。同期のある男は岡山にいたがアリバイがあり――アリバイ崩しの基本中の基本。

・小さな駅の大きい事件
指宿枕崎線・西大山駅で殺された加倉井刑事。誰かに頼まれたらしいが、その裏には思惑が――十津川亀井が捜査中止を命ぜられながら、謎を解き犯人を追いつめる姿がかっこいい一作。

・寝台特急六分間の殺意
十津川と直子の電話に割り込んできた会話で聞こえた「六分間」「やる」「六時半」。いったいどの時間のどの列車か?――経験が呼び寄せる勘か?犯人もびっくり。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(西村京太郎)
感想投稿日 : 2014年8月17日
読了日 : 2019年8月5日
本棚登録日 : 2014年8月17日

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