「考えない、行動しない、という罪」という秀逸な帯が、全てを物語る。悪意を抱く者の行動力、じわじわと浸透するプロパガンダの恐ろしさ、次第に迎合していく世論…。「悪意」は見えない。それだけに、いつ牙を剥くか分からない。逆に自分が他者を傷付ける可能性だって大いにある。
「二番目の悪者」に注視する形で話は終わるが、個人的には、一部の否定はあれど特に反駁もなく済ませてしまった側の、善心による「楽観視」も助長の一端を担ったと思う。狂う歯車を止めずに傍観することも、ある意味において悪意のない「悪」かもしれない。
なお、大人向けの絵本と評されがちだが、個人的には色々と形を変えて身近に起こり得る内容なので、むしろ子供達にこそ本を通して「洞察力」「思考力」「判断力」「行動力」「抑止力」などの大切さ・重要さが伝わって欲しいと考える。大人でさえ、非常に難しいことではあるけれども。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2017年8月27日
- 読了日 : 2017年8月27日
- 本棚登録日 : 2017年8月27日
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