新興堂書店の、ヤンガー・ジェネレーションが主人公。
これまでにもちらりと出てきた、バイトの高梨愛奈と、契約社員、宮崎彩加が、それぞれの道を歩み始める。
今回は、就活がテーマになっているけれど、それが愛奈の母(バブル世代)、彩加の故郷でパン屋を起業した大田など、違う価値観の人が関わって、主人公たちを相対化する視点を作り出す。
一つの町の、一つの書店の話ではなく、書店文化を捉えようとしているように見える。
このシリーズで素晴らしいのは、作者の碧野さん自身の、本への愛情が窺われるところだ。
愛奈の子ども時代のお気に入りの場所だった家庭文庫の安永さんという人物は、その象徴のようだ。
足を悪くした少女が主人公の物語を探索する話は、こちらもわくわくする。
それから、愛奈の母が、愛奈に勧める向田邦子の『夜中の薔薇』という作品の活かし方も素敵だ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年2月1日
- 読了日 : 2017年2月1日
- 本棚登録日 : 2017年2月1日
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