今回は趣の違う一冊です。宮城谷昌光さんの描き出す小説の登場人物には、その時代を一生懸命に生きているからこそ感じる人としての美しさがあります。そのため一つ一つの言葉には重みがあり、示唆に富みます。そんな宮城谷作品の中から特に珠玉の言葉を集めたのがこの本です。人としての生き方から自然観まで、「言葉の力」に圧倒され、感嘆しながら読了しました。百万言の解説よりも一つ例を紹介したほうがこの本の良さを感じてもらえるでしょう。「駑鈍の馬はおのれが千里の馬になることを夢想せずに、千里をゆくことを怛々と想い、たゆむことなく一歩一歩をくりだしてゆくしかない。大衆は一日に千里を走った馬を称賛し喝采するにせよ、駑鈍のたゆまぬ一歩におどろきの目をむけてくれる者は皆無ではあるまい。」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2006年1月13日
- 読了日 : 2006年1月13日
- 本棚登録日 : 2006年1月13日
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