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少女地獄 (角川文庫)についてのstrangeloveさんのレビュー


夢殿書房»

レビューは基本的にしません面倒なので. 専門書、学術書、全集は大体除いています. 積読、読了、未読、読みたい本ばらばらですばらばらです.

少女地獄 (角川文庫) 2130人が登録 ★3.66

著者: 夢野久作 
本 / 角川書店 / 274ページ / 1976年11月発売

レビュー by strangeloveさん

 未設定  読み終わった  読了日 : 2011年08月21日  5  登録日: 2012年02月08日

これまた昔のレビュー


『ドグラ・マグラ』なる奇書に挫折して早数年。夢野久作の狂乱キチガヒじみた世界観を如何しても体感したいなあと思い、"夢野久作入門書"的に購入したのがこの『少女地獄』であった。「少女地獄」「童貞」「けむりを吐かぬ煙突」「女坑主」の4編からなるこの小説は、何れも深淵なる地獄で有る事に相違は無い。特に表題の「少女地獄」は、書簡体形式で淡々と綴られる狂気が心地良くて好きだ。「少女地獄」は特異な形式を採っており、「何でも無い」「殺人リレー」「火星の女」と云う3編の小物語に別けられている。どの話にも地獄から脱け出せない少女が登場する。自ら造り上げた虚構を完成させる為に死へと追いやられる天才的虚構吐き看護婦の話「何でも無い」、殺人鬼との恋に溺れ、果ては壊れゆく女車掌達の話「殺人リレー」、黒焦死体に為る事で復讐を果たそうとする醜い少女の話「火星の女」…。

「火星の女」は兎に角印象に残った。書簡体形式が織り成す独特の世界観は勿論、身体に空虚を飼う醜い少女の復讐劇はインパクト大である。世界に無意味さを見出だすも、少女は何処かに存在する強烈な愛に縋り求めようとする。信じていた肉親の愛が壊れた時、少女の空虚は少女を喰ってしまった。黒焦少女の哀愁は素晴らしい。

読了して気付くのだが、夢野久作と云う作家は構成、心情描写、台詞回しがべらぼうに巧い。そして、気違いや狂人が支配する世界。彼が造り出し狂気の匂いは、活字を介して脳髄に侵入し感覚や意識を浮遊させ蕩けさせる一種の麻薬である。恐らく、この中毒性の虜に為れる人間は、彼に毒された狂人だけで有ろう。
次に『瓶詰の地獄』を読み、そして『ドグラ・マグラ』に再挑戦したいと想ふ。 レビュー登録日 : 2011年08月21日


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