図書館の神様 (ちくま文庫 せ 11-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2009年7月8日発売)
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ずっと清く正しい生活を送ってきた清(名前は犬からつけられた)は高校のある事件を機に思い描いていた未来からどんどん外れて行き、全くなる気もなかった講師として高校に赴任することになった。私生活では奥さんと別れるつもりのない相手と不倫をし、昔の自分からは考えられない正しくない生活を送っている。

高校で、垣内くん1人だけが所属する文芸部の顧問となり、文学の面白さに触れ、教師として生徒とふれあい、自分の心と向き合って前に向かう話。

垣内くん、弟、不倫相手、同僚と、彼らの特徴を羅列すると、それぞれ性格に難ありと言わざるを得ないのに、不思議と憎めず、それどころかいい男じゃんとうっかり思ってしまいそうになる。
水清ければ魚棲まず。
白黒きっぱり分けたがる清にとっては、割りきれないことも生きていればたくさんあるとやっと飲み込むことができた1年だったのだと思う。
そして垣内くんの現時点の正義、「黙るべき時を知る人は、同時に言うべき時を知っている」という言葉。本当に大人だなぁと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年7月4日
読了日 : 2015年7月4日
本棚登録日 : 2015年6月28日

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