どこかでベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社 (2017年5月9日発売)
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本棚登録 : 2599
感想 : 185
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岬シリーズ第4弾。
高校生の岬の話。
視点は岬の同級生。冒頭でショパンの一幕があって、思い出してうっかり涙がにじむ。。。

高校生とは思えない洞察力とピアノの技術。
無自覚な岬の才能に打ちのめされ、嫉妬と絶望に抗うクラスメイト達に目の敵にされる岬。
よく無事に今まで学生生活送ってきたな…!
というくらい周りから浮いている高校生だ。

所々で出てくる、才能と努力の話。
皆オンリーワンだけど、世界に出れば、夢物語や綺麗事が通じない、運や実力、才能の差に直面する。

芸術の世界では協調性よりも個性が重視されるけど、それでも才能と、それを磨くために厳しい訓練をし続けること、どちらも持たなければ生き残れない。

脱出不可能な陸の孤島で起きた殺人ミステリーのはずなのに、なんだか途中までアスリートの自伝や、自己啓発本を読んでるような気持ちになった。

岬の耳の話がキーなのに、岬の絶望より、クラスメイト達の葛藤と人間臭さにより注視してしまった。

あとは、岬のピアノを弾くシーンを読みながら、ベートーヴェンの月光を聞くと、その曲表現描写がとっても細やかだと発見できる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中山七里
感想投稿日 : 2017年12月27日
読了日 : 2017年12月27日
本棚登録日 : 2017年5月5日

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