岬シリーズ第4弾。
高校生の岬の話。
視点は岬の同級生。冒頭でショパンの一幕があって、思い出してうっかり涙がにじむ。。。
高校生とは思えない洞察力とピアノの技術。
無自覚な岬の才能に打ちのめされ、嫉妬と絶望に抗うクラスメイト達に目の敵にされる岬。
よく無事に今まで学生生活送ってきたな…!
というくらい周りから浮いている高校生だ。
所々で出てくる、才能と努力の話。
皆オンリーワンだけど、世界に出れば、夢物語や綺麗事が通じない、運や実力、才能の差に直面する。
芸術の世界では協調性よりも個性が重視されるけど、それでも才能と、それを磨くために厳しい訓練をし続けること、どちらも持たなければ生き残れない。
脱出不可能な陸の孤島で起きた殺人ミステリーのはずなのに、なんだか途中までアスリートの自伝や、自己啓発本を読んでるような気持ちになった。
岬の耳の話がキーなのに、岬の絶望より、クラスメイト達の葛藤と人間臭さにより注視してしまった。
あとは、岬のピアノを弾くシーンを読みながら、ベートーヴェンの月光を聞くと、その曲表現描写がとっても細やかだと発見できる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
中山七里
- 感想投稿日 : 2017年12月27日
- 読了日 : 2017年12月27日
- 本棚登録日 : 2017年5月5日
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