とりあえず日本語で もしも…あなたが外国人と「日本語で話す」としたら (クロスカルチャーライブラリー)

著者 :
  • スリーエーネットワーク (2010年5月25日発売)
3.90
  • (4)
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 57
感想 : 8
5

日本を訪れる外国人が増えてゐる現実を踏まへて、かつてのやうに此方がそれに備へて外国語を話すのではなく、日本語でコミュニケーションしませう、といふ画期的な提言の書であります。
日本人と外国人が、さらに外国人同士が日本語でやりとりすることを「対外日本語コミュニケーション」と名付け、その現状と問題点、解決法を論じてゐます。
といつて、日本に来るからには日本語を覚えて当然、といふ主張ではなく、我々が少し工夫したり学習すれば、普段駆使してゐる日本語で外国の方と意思の疎通が出来るのだ、といふことでせう。

第1章では、「対外日本語コミュニケーション」の現状と問題点を分析してゐます。
即ち「子ども扱い型」「外見予断型」「直情直解型」「高ハードル設置型」「言い換え失敗型」の5つのパターンに分類。それぞれの意味はおほむね見当がつくでせう。あなたも立派な大人を子ども扱ひしてゐませんか。
本書では留学生のホーマー君が、ホームステイ先の奥さんに、箸を使へば「まあ、上手ねえ」と言はれ、たまたま知つてゐる漢字を読めば「偉いわねぇ」、謙遜すると「もう日本人とおんなじねぇ。すごいわぁ!」...第三者として見てゐると、よく分かるのであります。

第2章は「対外日本語コミュニケーションをめぐる考察」。
第1章で分類した5パターンをさらに考察、これらの現象が現れる背景を探つてゐます。「コロケーション」と「チャンク」はぜひ押へておきたいところです。
ここまでは座学といふか、理論編と申せませうか。

最後の第3章では、対外日本語コミュニケーションのスキルを身に付けやうといふ実践編が展開されます。
それぞれの節の終りに、練習問題があるのですが、これが難しい。基本的には、外国の方に分かりやすい表現にするには、どう言ひ換へたら良いのか、といふ問題であります。もちろん私も試みたのですが、惨憺たる出来でイヤになつてしまひました。
しかし、わざわざ日本を選んで来てくれた諸外国の方々に、私たちも応へたいものであります。外国語を猛勉強したり留学したりするより、簡単な「国際化」ではないでせうか。

http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-180.html

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 語学
感想投稿日 : 2011年12月6日
読了日 : 2010年10月2日
本棚登録日 : 2011年12月6日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする