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三時三十三分(加藤)


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三時三十三分»

忘れぬように

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サクラ咲く (BOOK WITH YOU)

辻村 深月

/ 光文社 / 2012年03月17日 発売



先週末読了。辻村さんのヤングアダルト向け作品。

全三話収録。
なんと前二話は進研ゼミに掲載されたという物語。なるほど主人公は中学生だ。

約束の場所、約束の時間
中学二年生。昔から、転校生という言葉には不思議な魅力があるのだろう。

知ってしまった転校生の秘密。
転校生と仲良くなったことで、部活動への思い、将来の道、今まで見えなかった想いが見えてくる。

サクラ咲く
中学一年の本好きの女の子が主人公。

新しい友達、恋の予感。しかし一つ気になることが。
それは本の中にメッセージ。自分と同じような悩みを抱えている人物の存在。

いつしか二人は本の中で文通を。朱川さんの短編にもあったが、本を使って文通などなんて素敵な!と本好きにはたまらない設定。

手紙の相手は一体…??
謎解きがメインではなく、友達の大切さを優しく訴えてくる作品。

世界で一番美しい宝石
主人公は映画部発足に燃える高校二年生の男の子。
主演女優にと望んだのは、図書館で見つけた美しい先輩。

先輩の過去と出演条件に出されたある本の捜索。

学校は一体誰のものか。クラスの中心にいるような人たちだけのもの??
中心になんていなくとも、何かものすごいことができなくとも、少し勇気を出すことで、きっと世界は輝くはず。そばには信頼できる友が居る。

辻村さんの十八番、最終話には、三話読んだ人は思わず嬉しくなる登場人物たちが。そうか、そうなったのか。


光文社のこのヤングアダルト向け「BOOK WITH YOU」というシリーズは、あさのあつこさんや宮部みゆき氏などなかなか豪華なラインナップである。


2012年04月18日 | コメント(0) | 単行本 | 読み終わった (2012年04月18日)

真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)

大沼紀子

/ ポプラ社 / 2012年02月03日 発売



三月末に読み終えた一冊。明るい話が読みたいと思い手に取ったが、う~む、まるっきり明るい話ではなかったか。

救いが必要だった女性の話であった。
序章のOpenを含め、全五章、今巻は一冊が一つの長編となる。

一巻からの面々も相変わらずの登場で。
いないにも関わらず美和子さんの存在感が非常に大きい。それだけ素敵な人なのだろう。

波乱を巻き起こす女性の登場。
どうしようもなく他人の救いが必要な時もある。本人は自覚していなくとも。
そんな時に、ためらうことなく助けてしまえることが格好いいな。その力があることも。

彼女は最後にはきっちりと恋泥棒の役割を果たしていく。彼の想いの強さの勝利だろうか。
個人的には、もう一人の彼女と地元の彼のその後も気になるところ。

しかし、本当の意味で皆の心を盗んでいるのは、高校生の彼女だろう。

そんな彼女にまつわる残された一つの謎。どうやらまだパン屋での騒動は続いていくようだ。

パンやお菓子が食べたくなってくるな。


2012年04月05日 | コメント(0) | ポプラ社(文庫) | 読み終わった (2012年04月05日)

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

桜庭 一樹

/ 角川グループパブリッシング / 2009年03月25日 発売



一度雑誌掲載されているのだったか見た記憶にあり、何となく気になり読了。

誰もが振り返るような美少女である七竃少女が主人公。
不思議と哀しい話だった。

辻斬りのように
一話 遺憾ながら
二話 犬です
三話 朝は戦場
四話 冬は白く
五話 機関銃のように黒々と
六話 死んでもゆるせない
五月雨のような
七話 やたら魑魅魍魎
ゴージャス

から成る。
視点は様々。少女と彼女の周りにいる人々(+犬)。

七回竃に入れても燃え残ることがあるという七竃。
彼女は、普通の女子高生だ。鉄道が好きで、お洒落にはあまり興味のない。どこにでもいる女子高生なのだろう。
美しすぎる顔と、哀しい恋心を除けば。しかし、どうあっても除けないそれらが彼女を苦しめる。

彼女はいつか、全てを許せなくとも、「すこぅしだけ」なら許すことができるのだろうか。彼女の母を、運命を。
そういう意味では、娘と母の物語ともいえる。

最後の「ゴージャス」は、彼女の未来を描いているのか?
七人の大人がどのように可愛そうなのかを確かめてもらいたい。

関係ないが、今作ではサンボマスターの歌からの引用がある。前に読んだ桜庭氏の作品には、確か浜崎あゆみの歌から引用があった。現代の歌を作中に織り交ぜるとは珍しい。


2012年03月22日 | コメント(0) | 角川書店(文庫) | 読み終わった (2012年03月22日)

三匹のおっさん (文春文庫)

有川 浩

/ 文藝春秋 / 2012年03月09日 発売



途中他作品を読みつつも、四日程前に読了。
有川浩さんが還暦の、おっさんたちを主人公に描く。

全六話+特別収録「ラジオビタミン 児玉清の読み出したら止まらない2009年5月8日放送分より」
解説は中江有里さん。阪急電車解説、文庫版図書館戦争巻末で対談など、度々有川作品との関わりがある児玉清さんが最も愛したと言われる今作。
あとがきで書かれている児玉さんとのエピソード。ラジオの内容。本当に作品に対する愛が伝わってくる。

愉快痛快とはまさに。
今の還暦は携帯も使いこなせばお洒落も気にする。そして若者にはない度胸も器量も持ち合わせている。
自分の周りにもこんなおっさんいてほしい!

主人公の還暦過ぎの「おっさん」三人を、作中常に「三匹」と表現している。若いころの「三匹の悪ガキ」がそのままおっさんになったのだ。

そんな三匹が町で起こる事件を解決するために奔走。最初は相容れなかった孫(高校生)と仲良くなっていく様がまたいい。
今風の高校生も、格好いい「おっさん」には勝てない。

あとがきで有川氏は、「時代劇を現代でやったらどうなるか」とも思いつつ書かれたと述べられている。
勧善懲悪、しかし人情にも厚い。
そしてそこは有川さん、孫の高校生の恋愛話も絡めてくる。

「三匹のおっさん」のように年をとるのなら、年をとるのも案外悪くないと思えてくる。


2012年03月22日 | コメント(0) | 文春文庫 | 読み終わった (2012年03月22日)

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))

高田 郁

/ 角川春樹事務所 / 2012年03月15日 発売



一昨日読了。別の小説を読んでいたのだが、こちらを先に読み終えてしまった。今最も熱いともいえる作品。

「みをつくし料理帖」シリーズ、〈悲涙〉の第七弾!!
―あらすじより―

冬の雲雀―滋味重湯
忘れ貝―牡蠣の宝船
一陽来復―鯛の福探し
夏天の虹―哀し柚べし

の全四話からなる。

〈悲涙〉の、である。

読んでいて哀しくて哀しくて。
前巻で自分の思いを、他のどんなものよりも譲れない想いがあることを知ってしまった主人公。

何か一つを選択するときには、必ずそれを選ばなかった未来というものを捨てなければならない。
それがあまりにも惜しくとも、一つを選んで進んでいかなければならない。今の時代ならどちらも手に入れることができるか。それほどまでに当時の身分とは越えがたいものだったのだろう。

想っているのに、想われていることが分かるのに。しばらくシリーズ前作までは悲しくて読めそうもない。こんな未来を知ってしまったら。

つらく苦しんだ彼女に襲い掛かる苦難の道。
それでも周りの人々に叱咤激励され力を取り戻していく姿。どうかこれ以上の辛苦は与えないでくれ。
彼女なら乗り越えられるけれども、見ている自分がつらい。

そして別れがもう一つ。
会えるけれども会ってはいけない。もう会いたくても会えない。
どちらも哀しすぎる。
二人が彼女にかけた言葉。笑顔。彼女と共に過ごした時間を想う。

次巻は一年先のよう。
自分もこの悲しみを落ち着かせよう。

苦難の道の先に広がる、真っ青な空を思う。底抜けに明るい空を見せてくれ。
どうか、どうか彼女を幸せに。


2012年03月19日 | コメント(0) | ハルキ文庫 | 読み終わった (2012年03月19日)

花束に謎のリボン (光文社文庫)

松尾 由美

/ 光文社 / 2012年02月14日 発売



昨日読了。日常の謎、連作短編集である。

ミステリは最後に謎がすっきりと解けて終わるところがいい、という方にはおすすめできない作品だ。
推理はするが、あくまでも本当のところはどうなのかはわからないという、日常の謎ミステリの中でも珍しい物語である。

カリフォルニア・ドリーミング
アマリリス
アンダーウォーター
フラワー・イン・ザ・サン
穂状花序(すいじょうかじょ)
楽園の鳥
賢者の贈り物

の全7話。同棲している30前後の恋人同士が主人公。男女目線が交互に語られる。

彼女が勤めている花屋に訪れる少し変わった客たち。小説家の彼が出す答えとは。

題になっているのは、最初の「カリフォルニア・ドリーミング」の謎だ。
小説家という仕事柄も関係しているのか、彼の考える「なぜ」に対する答えは些か明るさに欠ける。謎は解けるかもしれないが、後味はあまり良くはない。

解説で吉田信子氏が、松尾さんの物語を読み終えた時に胸に残るものを「ビタースイート」と表しているが、まさしくそんな感じだ。

吉田さんは「ベースが、恋愛小説にもなっている」と述べられている。恋愛小説として読んだ方が良さそうだ。
途中途中に挟まれる愛情表現は非常に綺麗な語り口で、最後「賢者の贈り物」があることで、物語の甘さが増す。

好きな人にどんな花を贈るだろうか。


2012年03月12日 | コメント(0) | 光文社文庫 | 読み終わった (2012年03月12日)

探偵・日暮旅人の探し物 (メディアワークス文庫)

山口 幸三郎

/ アスキーメディアワークス / 2010年09月25日 発売



「―僕の目は『愛』を見つけ出すことだってできるのに。」という帯が気になり、昨日読了。

最初の一頁のみ探偵の彼の視点。短編四話から成る。

椅子の声
彼の力の紹介のような話。
ある男性が持っていた椅子に込められた想いを探す話。

探し物はなんですか
以後の主人公ともいえる、幼稚園の先生である女性が語り手。
あとがきで作者が語るように、人にとってはどうでもいいことでも、自分にとってはかけがえのない大切なものがある。
そういったものを、探す「探し物専門」の探偵、という彼の真髄が表れている。
そして彼女と探偵との繋がりとは。今後の登場人物たちが集結する。

景色の神秘
探偵の彼と、ドクターとドクターにまつわるある人物の物語。
彼の日頃の仕事内容も垣間見える。
こうして彼は信者を(笑)増やしていくのだろう。

地中の詩
彼は彼女についてどう考えているのだろうか。
最後は不穏な終わり方。探偵の彼の求めているもの、目的とは?
事件の予感。まだ続きそうだ。


目に見えないものが見える探偵。
彼の目には、世界はどのように映っているのだろうか。
同じ世界は見ることができないが、分かち合いたいと彼の周囲の人間は思っている。その想いに彼は気づくのか。


2012年03月04日 | コメント(0) | メディアワークス文庫 | 読み終わった (2012年03月04日)

先生と僕 (双葉文庫)

坂木 司

/ 双葉社 / 2011年12月15日 発売



三日前に読了。坂木司氏の少し苦めの日常の謎ミステリ。

先生と僕
消えた歌声
逃げ水のいるプール
額縁の裏
見えない盗品
の全五話。

あとがき ミステリはお好きですか?
文庫版あとがき&特別便

あとがきには作者のミステリへの温かい愛が伺える。
特別便は、同作者の他作品とリンク。坂木氏好きの方は必見。

解説はミステリ評論家の千街晶之氏。
作中に登場するミステリ作品の紹介も有り。

少し視点を変えると今までには気づかなかった世界が姿を表す。

目線を変えただけで、こんなにも日常に潜む犯罪の影が見えるのか。
作中紹介されるのは比較的穏やかなミステリたちだが、出会うのは現実の殺伐とした裏の世界。

主人公にそれを教えてくれたのは、彼にミステリを教えてくれるミステリ好きの“先生”。

主人公自身も、彼にとって先生となりうる。
お互いに、「先生と僕」なのだろう。

物語のようなスリルや禍々しさ、探偵や推理、すっきりとする解決などはなかなかないだろう。

しかし、二人でいれば、別の視点、また新しい世界が見えてくる。


2012年03月01日 | コメント(0) | 文庫 | 読み終わった (2012年03月01日)

彩雲国物語 二、黄金の約束 (角川文庫)

雪乃 紗衣

/ 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2011年11月25日 発売



昨日の今日で、さっそく二巻を手にとってしまった。
さくさく読めることは、ライトノベルの良いところだ。

一巻の最後の部分に至るまでが今後描かれるのか。

同じ中華ファンタジーだからか、人と出会う運のようなものがあると聞くと、『図南の翼』を思い出す。

チャンスをものにするかどうかは、日頃どう過ごしているかにかかっている。
人の信頼を得るかどうかも然り。

皆が彼女に惹かれる訳も解る。評価に見合うだけの惜しみ無い努力をしているのだから。

個人的には奇人である彼との恋愛も良いと思うのだが、どうなるのだろうか。

主人公の相手役が分からないのもそのままである。
相手役などいないという道も見えなくはないが。

新しいキャラクターもどんどん登場しているが、皆が個性的で覚えやすい。
全てのキャラが魅力的なのは二巻も変わらず。

一巻でもそうだったが、巻末の今後のネタバレは良いのか。
それを読み、感慨深くなる自分が居るから良いのか。

今後彼女の人生は大きく変わる。
彼女ならば、何があっても最後は明るい未来に変えてしまえる気がする。変える力がある。


2012年02月19日 | コメント(0) | 角川書店(文庫) | 読み終わった (2012年02月19日)

彩雲国物語 一、はじまりの風は紅く (角川文庫)

雪乃 紗衣

/ 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2011年10月25日 発売



気になっていた作品。アニメをちらりと目にしたことがある。
角川文庫となった機会手に取ってみた。昨日読了。

身分はあるが貧しい少女が受けた仕事とは。
ありがちな話と言ってしまえばそれまでだが、王道の面白さが詰まっている。

誰もが惹かれる明るく優しく芯の通った主人公。
その周りには、一癖も二癖もある人々ばかり。またみんな顔も良いときている。

この登場人物たちが皆個性的で魅力的だ。

話の筋は王道だが、主人公が全く恋愛を考えていないことは珍しいか。

それぞれに過去を抱えているが、とある境遇の者が多いように感じられた。
国が混乱するということが産み出した悲劇だろうか。

“十二国記”シリーズならばこの巻で終わってしまいそうな最終頁だったが、彼女の物語はまだまだ続いている模様。
凛々しい彼女に自分もやられたようだ。

まだ紅い風は吹き始めたばかりである。


2012年02月19日 | コメント(0) | 角川書店(文庫) | 読み終わった (2012年02月19日)

7つの習慣―成功には原則があった!

スティーブン・R. コヴィー Stephen R. Covey ジェームス スキナー 川西 茂

/ キングベアー出版 / 1996年12月 発売



ビジネス書として紹介され、昨日読了。普段は読まないジャンルなので、読み終えるのに時間がかかってしまった。

自己啓発本コーナーに置かれていた一冊。なるほど、自分自身を見つめなおす必要があるようだ。

多くの方がこの「七つの習慣」を称えているのも納得である。全ての人がこの考え方を共有し、他人に接することができたなら、どれだけの成功が見込めるだろうか。

本書で引用される言葉たちは、ビジネスマン、宗教家、政治家をはじめ、最後はミュージカルからの引用などもあり、彼が多くの「成功」に関わる文献を読み、分析されたという言葉を裏付けている。
その全てが格言ともいえるものであり、この中から座右の銘が見つかるかもしれない。

また、身近な体験や経験をふんだんに盛り込んであることで、自分のようなビジネス書初心者にも、非常に読みやすく分かりやすかった。

自分の周りを振り返り、この言葉や考え方は、あの人に教えたい!というものもきっと出てくるだろう。

締めの言葉もよかった。本文中にもあった通り、この本は、一度読んだだけで完結するのではなく、何度も読むことでこそ成果や理解を深める本なのだろう。

本書で最も長く語られたのは、「七つの習慣」の中身ではなく、七つの習慣の根本となる考え方や心構えについてである。

まずは、今ある概念を考え直さなければならない。


2012年02月18日 | コメント(0) | 単行本 | 読み終わった (2012年02月18日)

真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)

大沼紀子

/ ポプラ社 / 2011年06月03日 発売



二巻も好調のようだ。
一巻が話題になった時に気になっていたがなかなか手が出なかったが、ここにきて二巻発売かと思い読了。

うむ、良かった。
児童文学ではなく売れているというのが面白い。

午後二十三時から午前二十九時が営業時間のパン屋さん。
こういうと、何か変わったパン屋に思えるが、意外なほど普通のパン屋であった。
あふれているのはパンの匂い。あたたかくて何物にも平等においしいと感じさせてくれる、パンの匂いだった。

Openの序章に始まり、パン制作の工程が題名になっている六つの短編。それぞれ語り手が異なる。

真夜中に開いているパン屋、そしてその客ということで、皆一様に問題やあまり明るくない過去を抱えている。家族の話が多かったか。

捻くれていたり、歪んでいたりと言っている登場人物たちだが、自分には皆ひどく素直に思えた。おいしいものをおいしいと言い、優しいものを優しいと感じることができる人々だ。

女子高生の彼女はいつも自分ばかり救われると感じているが、決してそんなことはなく、皆がそれぞれ支合っているのだろう。誰かが幸せだと、自分も幸せになれるという世界。
パンひとつで、何気ない誰かの一言で救われることもある。

一話ごとに登場する人々が、一話だけのゲストではなくその後も継続して登場するという流れは、坂木司氏の小説にも繋がる。
実際の世界ではそんな簡単に絆は切れないという、そうしてどんどん世界が広がっていく。

「人は かなしみが 多いほど 人には 優しく できるのだから …」
という、あの有名な歌の一節がふと思い浮かんだ。
そんな、優しさがあふれている物語。


関係ないが、これは三軒茶屋近辺の設定なのか…。


2012年02月09日 | コメント(0) | ポプラ社(文庫) | 読み終わった (2012年02月09日)

Mystery Seller (新潮文庫)

新潮社ミステリーセラー編集部

/ 新潮社 / 2012年01月28日 発売



『Story Seller』シリーズが非常に好みだったため、こちらも気になり購入。
島田荘司氏、有栖川有栖氏、我孫子武丸氏、麻耶雄嵩氏等々錚々たる面々であり、ミステリファンにはたまらない一冊なのではないだろうか。

全くお恥ずかしい話しながら、自分は初読の作家の方が多かったが。

八話の中・短編が収められている。

「進々堂世界一周  戻り橋と悲願花」 島田荘司
戻り橋にて御手洗さんが語りだす、悲願花にまつわる話。「悲願」とはまさに。
「…この橋の上で、誰かが何か意味深いことを語ろうとすると、橋の下の式神がその人に乗り移って、その口を借りて話すんだって……」
戦争の惨さ。ひとつの花から話は時代を、国を超えて広がっていく。想いも。

「四分間では短すぎる」 有栖川有栖
題名を見てピンと来る方もいるのだろう。名作短編『九マイルは遠すぎる』へのオマージュである。松本清張『点と線』内の〈空白の四分間〉に関するネタバレも出てくる。
全く恥ずかしながらどちらも元作品は未読である。『九マイル~』は様々に模されているので、一度は読んでみたい。
主役は大学生のアリスくんである。「四分間では短すぎる」の謎を考える。上記にも分かる通り、有栖川氏のミステリへの愛がうかがえる。

「夏に消えた少女」 我孫子武丸
王道と言えば王道のトリックだろうか。犯人に、事件に思いを馳せる彼女の目線は新鮮な気がする。日常に潜む恐ろしさ。自分だけはとは言えない世界である。

「柘榴」 米澤穂信
女性は生まれた時から女性なのだろう。米澤氏は最後に真意を暴く。
その魅力は何だろうか。

「恐い映像」 竹本健治
題にもなっているが、全体が映像的な作品という印象を受ける。
恐い映像の正体を突き止めていくと…。ホラーにもなりそうだが、暗くさせすぎず終わるところが良かった。

「確かなつながり」  北川歩実
覆面作家の方なのか。少女の誘拐から見えてくる真相。
日本は自由な国だなと思う。これを読み実感するのも変な話だが。

「杜の囚人」 長江俊和
映像作品を扱われている方らしい。なるほど台本的なところもあるか?二転三転する事実。最後まで騙されてはいけない。

「失くした御守」 麻耶雄嵩
作者の方は“ユタカ”さんと読むのか。
なんてことはない、主人公がひたすら御守を探している話といってしまえばそれまでだが。その外で起きている事件。
こんな終わり方があるのか。


今までミステリは最も好きなジャンルだと思っていたが、これからは改めたほうがよさそうだ。自分にはもっと穏やかな話で充分だ。

ミステリの怪しい魅力のつまった一冊。


2012年02月07日 | コメント(0) | 新潮文庫 | 読み終わった (2012年02月07日)

わくらば日記 (角川文庫)

朱川 湊人

/ 角川グループパブリッシング / 2009年02月25日 発売



一昨日読了。

解説で東雅夫さんが映画「ALWAYS 三丁目の夕日」(山崎貴監督)について触れられているが、現在も映画3が公開中ということで、読んでいる際想起された。

本作は映画と同時代、昭和三十年代が舞台である。本作にも、東京タワー建設途中の姿が描かれている。
しかし、映画があの時代を陽として描いているとしたら、本作は時代の哀の部分が強く描かれているように思う。戦争の爪痕もまだまだ残っている、それに負けないような明るさ、力強さもある。激動の時代に生きる人々、どちらも確かにあの時代を表しているのだろう。

平成も二十四年、バブル期を描く作品も作られるようになり、昭和という時代が回顧される時代になってきた。

平成の世の現在に生きる妹が、不思議な力を持つ姉の話を回想するという形式で物語は進む。

以下の五話が収録されている。

追憶の虹
姉の力と始まりの事件。力はあるけれども、それに見合うだけの精神も持っている人間と言うのは稀なのかもしれない。
解説にある通り、この話の結末と第四話に描かれるある場面の思想の飛躍は絶妙である。

夏空への梯子
今でもまだ、考えられる事件の原因ではないだろうか。こういったものは、根深く蔓延っている。主人公のように、ふとした会話で意識せずに出てくる言葉が本当の思いを表していることもある。
そういった自分を嫌悪した妹と、怒るではなく哀しむ姉が姉妹の性格を表している。
この話あたりから神楽さんの優しさも垣間見える。

いつか夕陽の中で
もう一人の姉のような存在の話。信じる人間がいれば、そしてその人物を信じることができれば、過去は清算できるのか。最後の場面の母にカンパイである。

流星のまたたき
戦争の残したもの。手品と流星の思いでが、姉にとってあたたかいものであるといい。

春の悪魔
姉妹の母親は優しく逞しい方だ。最後の母のセリフに思う。春風に潜む悪魔に唆されぬように気をつけねば。


回想録として語られているので、作中意味深な今後についての発言が間々見られた。
シリーズ二作目ももう書かれているので、また読んでみたいと思う。彼女たちがどう生きたのか。


2012年01月29日 | コメント(0) | 角川書店(文庫) | 読み終わった (2012年01月29日)

最後の恋 プレミアム―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)

阿川 佐和子 大島 真寿美 島本 理生 森 絵都 乃南 アサ 井上 荒野 村山 由佳

/ 新潮社 / 2011年11月28日 発売



前短編集を読んだので、今回もと思い読了。
前作同様、女性が描く、大人の女性の恋が描かれているように思う。

甘い記憶  大島真寿実
先日『青いリボン』で出会ったばかりの大島氏だが、他の作品も読んでみたくなる。恋愛ものに見せかけて、女子高生と老女の物語でもある。

ブーツ  井上荒野
短編集でなければ読むことはないだろう作家の方だ。
最後、腹を立ててる彼女が嫌いではない。

ヨハネスブルグのマフィア  森絵都
森さんの描く大人の恋というと、やはり短編「風に舞いあがるビニールシート」が思い浮かぶ。異国が登場するイメージである。
「三十九年と二ヶ月生きてきても起こらなかったことも、三十九年と三ヶ月目には起こりうる」のだ。

森で待つ  阿川佐和子
不思議な最後である。まさしく、最後の恋。こんなに、疑いつつも信じて待っていることなどできるのだろうか。そこが女性の凄さか。

ときめき  島本理生
異色の主人公。ファンタジックと言ってもよいか。しかし、“彼女”が恋をするならばきっと、恐ろしいほどに情熱的な大きい想いなのかもしれないとも思える。最後に来たものは一体?

TSUNAMI  村山由佳
二つの津波が描かれる。どこかで、あったかもしれない物語。こういう存在に対してしか出来ないであろう、「ただ元気でそこにいてくれればいい」と思える純度の高い恋。

それは秘密の  乃南アサ
非常事態というのも恋が生まれやすい場所なのだろう。ここでしか出会えなかった。年甲斐など関係なく。お互い、誰にも話さないであろう、しかし忘れえぬ記憶。


村山氏の「TSUNAMI」に、「もしかして、純粋な恋情と言うものは、あらかじめ失われた相手との間にしか保てないものなのだろうか。」という一説がある。
このアンソロジーの全ての物語にいえることのような気がする。あるいは、女性の最後のそして最高の恋は、こういうものなのだろうか。


2012年01月22日 | コメント(0) | 新潮文庫 | 読み終わった (2012年01月22日)


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