レビュー by gkmondさん
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登録日: 2004年09月24日
透明な知性と繊細な詩的感性によって20世紀前半のフランスを代表するとされるポール・ヴァレリーが残した唯一の小説集。通例、テスト氏と訳されてきたが、訳者の清水徹によると、氏と書くとムッシューの含む多義性が表現できないので、あえてムッシューのままにしたらしい。
内容に関しては、ええとごめんなさいさっぱりわかりませんでした。なんかムッシュー・テストなる変人がいて、それを語り手が尊敬の眼差しで絶賛している感じ? 後半はムッシュー・テストの思想的断片だとか言って、よくわからん箴言が並んでいたりもする。奥さんがムッシュー・テストを絶賛する手紙が収録されていたりもする。しかし、ぼくにはこのムッシュー・テスト、これといって魅力的に映らないのだった。
自分にとってこの作品の価値は、「だれそれは美しいとか、並はずれているとかいうのも、みんな他人にとっての話だ。連中は他人に食われている!(p.29)」というフレーズが存在しているという一点である。口に出せることは、いやそれ以前に考えるということは、どっかの誰かの考えをコピーしたものに過ぎない、という考えを自分は確か高橋源一郎のエッセイで初めて意識させられたが。19世紀終わりに書かれた短編にすでにその問題が記されているということに軽い驚きを覚えた。
このフレーズがあるという理由だけで、この作品は残される価値がある(読んで面白いかどうかはまったく別問題)。
レビュー登録日 : 2004年09月24日
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