「ドライフラワー」がヒットしてるのだから、甘いラブソングを作っていればよさそうだけど、結構尖った曲、人生をテーマにしたものなどがんばってる。

メロディメーカーとして少し物足りないのだが。

1曲目の「ビリミリオン」という曲が面白い。

♪老人が君に言いました

『残りの寿命を買わせてよ

50年を 50億で買おう』

人生をやり直したいと



ただ起きて食って働いて

寝て起きて働く毎日だ

それなのに手放したくない

理由を考えてみたよ



身体も痛くなるだろうし

友達もいなくなるんだろうな

恋愛もできなくなるよな

その値段じゃ売れないな



僕が生きてるこの時間は

50 億以上の価値があるでしょう

生きているだけでまるもうけ

これ以上何が欲しいというの



老人が君に言いました

『それなら倍の 100 億出そう

奥さん、子供もつけるから』

『豪邸も仕事もつけるからさ』



50年が 100億ならば

年収 2億の大富豪だ

でも好きな人は自分でさ

見つけたいからいらないよ



僕が生きてるこの時間は

100 億以上の価値があるでしょう

生きているだけでまるもうけ

何にでもなれる今がいいの



どんな夢を描いてもいい

どんな恋をしたっていい

無限大の可能性は

誰にも譲れない



何十回立ち止まっても

それでも僕を諦めない

僕が生きる理由は

僕が決めるから



僕らが生きる時間は

決して安いものじゃないから

後悔しない選択を選んで欲しいの



頑張ろう 頑張ろう 頑張れ

頑張ろう 頑張ろう 頑張れ



https://www.youtube.com/watch?v=vUsikBoa8i0

2024年3月6日

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読書状況 聴き終わった [2024年3月6日]
カテゴリ 音楽

サザンの26曲をとりあげ、分析している。スージー鈴木さんならではの鋭さと軽妙さで面白い。

『78年8月31日夜。演奏が終わった瞬間、日本のロックが一段上に跳ね上がった。見えてきたものは江ノ島と、新しい日本のロックのありようだ。』

『ルイ16世「女呼んでもんで抱いてとか、おっぱいとか、これは暴動か?」

リアンクール公「いいえ、陛下、暴動ではございません。革命でございます。」』

『《いとしのエリー》たった一曲の中にも「誘い涙」「みぞりまじり」「泣かせ文句」という強烈な桑田語が並んでいた。これらは、言ってみれば、日本語ロックにおける「言語革命」の痕跡である。』

『ぜひ一度、歌っていただきたい ♪芥川龍之介がスライを聴いて、"お歌が上手"とほざいたと言う。」

私にとってこのフレーズは、声に出して歌いたい日本語の最高峰である。』

といった感じ。ミーハーでいて評論家。


あとがきで退職したことを書いている。退職して初めての著作で、職業人の制約から離れて少しだけ自由に書いたとのこと。仕事から離れることで評論家としての活動が進むのかもしれない。

調べると博報堂にいたんですね。

文中で紹介していた「Jポップにありがちな歌詞」が懐かしくて面白かった。

2024年3月5日

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読書状況 読み終わった [2024年3月5日]
カテゴリ

CNNが選出した世界7大心霊スポットになっている実在の廃病院「コンジアム精神病院」に、YouTuber6人がアクセス数稼ぎに深夜で入り込むホラー。

出演者に小型カメラを装着して大半のシーンを彼ら自身に撮影させるという手法をとった映画でなかなかに怖かったです。
ドアがパタンと閉まる。モノが動く。写真、真っ黒目、度肝を抜く新趣向はなかった気がする。小型カメラを使用した映画も新味はないけど、ただYouTuberを想定してることで、深くなってる。

2024年3月4日

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読書状況 観終わった [2024年3月4日]
カテゴリ 映画

コミカルな軽いノリが売りですが、そのコミカルさがどうでもいい。ひたすらすべってる感じ。アクションがそれに連動して外してる。高校生同士の恋愛がテーマとして出てくるけど、イジメを助けられたというだけで、すっかり世紀の恋。

2024年3月1日

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読書状況 観終わった [2024年3月1日]
カテゴリ 映画

全21曲の大作ですが、半分はアニメ、ドラマのタイアップ曲です。

この前常田大希さんの作曲現場のドキュメントを見またが、曲によっては150くらいの音を細かく重ねてました。

ノイズィな凝りに凝った音に、常田さんのアグレッシブなギターが重なるのですが、そのカオスの中にあっても井口理さんの透明感のあるボーカルが毀損されることはないというKing Gnuの世界ですね。

タイアップが半分あると、曲調が作品に寄るので、アルバムとしてみるとバラバラ感があります。今のアルバムの抱える問題かと。

2024年2月26日

読書状況 聴き終わった [2024年2月26日]
カテゴリ 音楽
読書状況 読み終わった [2024年2月26日]
カテゴリ コミック

合戦シーンは相変わらずのディテイルで堪能できます。秀吉と家康と主人公の関係性も面白い。

2024年2月25日

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読書状況 読み終わった [2024年2月25日]
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絵が描きなれたウマさで、会話が面白いというのが素晴らしい。なかなかこのオフビート感はないですね。余裕をもって楽しめる。怪物との戦いなど、見せ場も用意されていてこのマン1位も納得です。

2024年2月24日

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読書状況 読み終わった [2024年2月24日]
カテゴリ コミック

アメリカのアニメのアカデミー賞と言われてるアニー賞にノミネートはされたけど受賞はのがしたと最近のニュースにありました。ノミネートだけで立派。

タイトルは地味だけど、震災などの災害の元となる「ミミズ」が、空いっぱいに広がっていくので、それを閉じ込める「閉じ師」なるものがいて、日本中を駆け巡りミミズとの空中戦を繰り広げるスペクタクル映画です。

新海さんはとにかく絵が緻密でうまい。日本では一番ではないだろうか。ということは世界でも一番かもしれません。

特に水と空がうまい。画面割で地上:空を1:9で描きますね。それで空の開放感、空中感がリアルに表現できてる。顔の表情の書き方は雑だけど、雲の表情にはめっちゃ力入れて書きます。空が描けるとスケール感が出ますから映画向きです。

少し前に「関ジャム」にラドウィンプスの野田洋次郎さんが出ていて、新海誠さんの映画のサントラづくりの話をしていたけど、100のオーダーで一度でOKだったことは一度くらいの割合とか。

それも非常に細かい音の指定をしてくるんですね。ちょっとした音の強弱、テンポ、タイミングに注文をつけてきます。

ワタシはそこまで注意して聞いてませんね。音楽ですらこうですから映像本体にはどれだけの繊細さが織り込まれてるのだろうと思います。

今回は思いっきりわかりやすく、娯楽映画に寄せてきてる感じがありますが、そこが軽すぎる感じはしました。ウマさにシュリンクして地味になるよりはいいのですが、ファンタジーについていけないというか、ファンタジーだからって不自然であっていいとは思えないとか。

湖水に垂れる枝が雨のしずくの重みで少ししなり水面に影を落としてる みたいな描写のほうがワタシは好きです。

2024年2月22日

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読書状況 観終わった [2024年2月22日]
カテゴリ 映画
  • オールド [Blu-ray]
  • M・ナイト・シャマラン
  • NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン / 2022年9月7日発売
  • Amazon.co.jp / 映画
  • 購入する

最初かなり稚拙なホテルでの描写があって、手触りとしてザラザラしている。心地よくない。それが年老いていくビーチという奇想天外な場所の話になって不気味さがます。

かなり荒唐無稽な話で、腫瘍を消毒もせずに取り除いたりする不自然なとこが山盛りですが、それは最初からの演出、演技にも言えて、意識して素人っぽくしてると思う。素人の芝居など見てると不愉快な感触がある。その不快感もホラーの一つに取り込んでるように感じる。上から落ちてきた人など絵を見せるとグロなとこがあるがそういうとこは見せずにクールだったり奇妙な味のホラーになってる。どこから飛んでくるか分からない不気味さがうまい。実はそれは薬の開発のためだったという妙に科学的風な解釈も稚拙なまま面白い。

2024年2月19日

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読書状況 観終わった [2024年2月19日]
カテゴリ 映画

今回はまずは爆弾ころがり阻止でしょうか。爆弾愛好家のダンテが登場して、ドミニクの車はよく空を飛ぶ。そのまま着地してもバウンドすればOK。一番の売りはダムの滑り降りだけど、ここはCGの跡がよく見える。どこまでCGを入れているのか気になるところ。

2024年2月14日

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読書状況 観終わった [2024年2月14日]
カテゴリ 映画

アクション映画は数あれど、その中の何かのファクターで一番を狙ってる感じだ。

とにかく流れるように人が殺されて行く。一番の焦点は接近戦での銃使いだ。これだけ殺すなら大型銃器で滅多打ちで良さそだが、武器はあくまでもピストル。格闘技などのアクションをいれ、優位にたったとこで近距離から銃を撃つ。見ていてなかなかの痛さ。

基本ジョン・ウィックには弾からよけていく感じ。

さらに高いところから落ちても下に車があったからいいことにして・・ってならないって感じです。220段というギネスばりの階段落ちも登場する。新選組の階段落ちなどかわいいものだ。どこまでスタントマン、どのくらいCGを入れているのだろう。

車道での車の流れの中でのアクション、長回し、俯瞰などいろいろと工夫している。



銃撃戦になるとスーツの上着で顔を隠して、弾除けのつもりらしくって、笑える。これはスタッフも笑ってもらおうという演出だと思う。どこまでマジメなのかコミカルなのか分からないとこがテイストの一つ。

相棒が盲目の殺し屋というのもマジメとコミカルの間をいってる。全体はありきたりなB級路線でこれもこの感じが大好きなのかなと思う。

最後お墓に入ってしまったがこのままってことはないような気がする。


映画.comが選ぶ、2023年の映画ベスト10 9位

2024年2月14日

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読書状況 観終わった [2024年2月14日]
カテゴリ 映画

脱力系、自虐ネタに、ホントのような嘘のそうな出来ごと(カラスが頭に止まったりすのだろうか)、大笑いするようなことではない、中途半端なとこでとまる生ぬるい感じも絶妙で、読み合わるとフワフワした、こんな視点で生活してみたいものだと思う。

2024年2月9日

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読書状況 読み終わった [2024年2月9日]
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「グッチ」の創業者一族の話です。レディー・ガガ、アダム・ドライバーが経営権を相続する夫婦で、権利のあるおじさんや従兄弟を追い落としてにかかる仁義なき戦いの話です。



最後は、夫婦も仲違いしてレディー・ガガは殺し屋を雇いアダム・ドライバーを殺してしまいます。

有名な話のようですね。ワタシは知らなくてびっくりしました。

今のグッチにはグッチ一族の誰もかかわっていないそうです。



俳優でも難しい役をレディー・ガガは見事に演じていて素晴らしい。少しグラマラスなのは役のためなのか、実際に太ってきたのかよくわかりません。

映画でこれだけ面白いのだから原作はもっといいんでしょう読みたくなります。とすると面白いのはこの映画ではなくて、本の方、もしくは現実のほうという気もしなくもないです。

2024年2月8日

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読書状況 観終わった [2024年2月8日]
カテゴリ 映画

[ネタバレしてます]
文房具屋の店員と客という低いテンションでいかにも日本映画というタッチで始まり、ほぼそれに終始する。夫になった窪田正孝が伐採の事故で亡くなり、その兄が来て、仏壇の遺影を見て「これは弟ではない」というところから俄然面白くなる。

ここから弁護士の妻夫木聡に主役はバトンタッチされる。話は戸籍の入れ替えという話がこの映画のテーマであることがわかってくる。殺人者の息子だった窪田正孝はその汚名を逃れるために何度か戸籍の入れ替えをしている。戸籍という入れ物がかわってくると中身はどうなる?アイデンティは?ということになる。

妻夫木聡自身、韓国帰化でアイデンティティが危うく、最後バーで知らない人に窪田正孝のフリをして話をするところで終る。

最初の重さは手応えがあっていいのだが、それが一本調子で続くとこがややつらい。いい映画とは思うが、面白い映画ではない。

第46回日本アカデミー賞では最優秀作品賞を含む同年度最多の8部門(ほか最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞、最優秀助演女優賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞)を受賞した。

2024年2月6日

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読書状況 観終わった [2024年2月6日]
カテゴリ 映画

11曲 35分 MAR 21 2023

『2023年3月21日に発売された大滝詠一のスタジオ・アルバムです。Disc-1は大滝詠一が歌唱した音源がコンパイルされ、Disc-2は大滝詠一が幅広いアーティストに提供した楽曲をセレクトしています。

Disc-1は、大滝本人が歌唱した11曲の音源を収録しています。これには、本邦初公開となる新曲や、名曲のセルフカバーなどが含まれています。また、全曲が未発表音源で、1980年代に一世を風靡したお笑いバラエティ番組『オレたちひょうきん族』から生まれた「うなずきマーチ」や、テレビアニメ『ちびまる子ちゃん』の主題歌「針切じいさんのロケン・ロール」のセルフカバー、ファン待望のティン・パン・アレイをバックに小林旭へ楽曲提供の準備をしたが、企画が実らなかった「ホルモン小唄~元気でチャチャチャ」などが収録されています。』

2024年2月3日

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読書状況 聴き終わった [2024年2月3日]
カテゴリ 音楽

パーカー大佐という搾取するマネージャーがいたことも知らなかったので、なかなか興味深かった。デビューの頃腰振りが批判されていたのは知ってましたが、ここまでとは知りませんでした。逆にそこまで熱狂するのも今となってはピンとこない。

音楽づくりの舞台裏はあまり描かれておらず、黒人居住区の白人の家にいたことでR&Bとの出会いがあったという程度になっている。どうしてこうした革命的な音楽が誕生したのか知りたいとこですね。

全体として、説明的ではなくて事件をピックアッブしたテンポのよいつくりを目指していてるようで、展開がうやむやなとこがありますね。

別のドキュメントなり本を読んでみたくなります。

オースティン・バトラーとトム・ハンクスのなりきりぶりがスゴイ。ビートルズの場合も初代マネージャーであるブライアン・エプスタインの急死後、ジョン、ジョージ、リンゴの押すアレン・クラインが実権をにぎりポールと対立、ポールがビートルズを出ることとなり、その後アレンはビートルズの版権を全部自分のものにしてしまうんですね。
マネージャーが大物ミュージシャンを食い物にして、寿命を縮めてしまうことには憤りしかないですね。
ショービジネスってそんなものなのかもしれませんが。

2024年1月30日

読書状況 観終わった [2024年1月30日]
カテゴリ 映画

コメディアクション映画+ラブロマンス。娯楽映画の王道というのか古色蒼然というのか、サンドラ・ブロックプロデュースということで、芸術的な作品に走るわけでもなく、薄着で頑張っているのはすばらしい。サンドラ・ブロックが呼んだのだろうか脇役でブラッド・ピットまで登場。

コミカルはいいけど、アクションを薄めてしまっていて、見てるうちは楽しいけどという作品になりました。

2024年1月30日

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読書状況 観終わった [2024年1月30日]
カテゴリ 映画

『さだまさしの「さだまさしコンサートツアー2022~孤悲~」は、彼のデビュー50周年を記念して開催された全国ツアーのライブ作品です。このツアーは2022年5月から開始され、追加公演が2022年11月30日に東京国際フォーラムで行われました。

このライブ作品は、CD (2枚組)/DVD/Blu-rayの3形態でリリースされ、アルバム『孤悲』からの曲を半分以上披露しています。また、さだまさしのトークも収録されており、特に『エレクトーン「ハイ!」事件 2022バージョン』がファンから大好評を得ています。』
19曲 2時間12分 JUL 12 202
こういうようにコンサートツアーごとにMC込でパッケージで出してもらえると嬉しい。
「療養所」が懐かしい。歌うのも久しぶりなんだそうだ。

 1.偶成
 2.抱擁
 3.破
 4.パンプキン・パイとシナモン・ティー
 5.道化師のソネット
 6.療養所
 7.キーウから遠く離れて
 8.フレディもしくは三教街-ロシア租界にて-
 9.詩人
10.舞姫
11.鷽替え
12.孤悲

2024年1月29日

読書状況 聴き終わった [2024年1月29日]
カテゴリ 音楽

1939年製作/129分/アメリカ
なぜこれが傑作なんだろう。事件は私有地にキャンプ場を作ろうとして、寄付金を横取りしようという嫌疑と理由は明らかなんだから、その真実を明らかにすればいいだけのことではないかと思う。そこには触れずに延々演説して気絶するとはナンセンス。それも敵と目された男がそのことで翻意するといういい加減な展開。横取りしていたら何をしてもダメでしょうに。
そもそもダム計画がすでに進んでるとこにキャンプ場を作ろうとするのもどうかと思う。別のとこにすればいいじゃないの。
そもそもダムを作ることが悪というのもどうなんでしょう。意味のある事業なんじゃなかろうか。
そもそも議場で突然議案を出すというのもどうなんでしょう。役所、他議員など一切根回しなしで議会運営なんてできるわけがない。いくら昔のアメリカだとしても。
そもそも提案する前に現実的に可能かどうか検討すべきでしょう。もしくは計画だけ提出して場所の選定はその後にすればいい。そんなことを無視していきなり誰も相談せずに調査もせずに場所の指定するなんて民主主義というより独裁国家がやりそうなことだ。

2024年1月28日

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読書状況 観終わった [2024年1月28日]
カテゴリ 映画

1934年製作/105分/アメリカ

枯れ草の中で寝てたらするのにお化粧はバッチリなどそれなりのリアリティが求められる最近ではちょっと無理な展開もあるのだけど、その分脚本が自由で、モノクロのこの時代ならではの雰囲気で楽しめますね。

最後結婚式場から逃げ出す展開で、二人が出会うシーンを毛布が落ちるとこだけの表現で終わらせるのはどうなんでしょう。そのあたりがフランク・キャプラの粋なとこではあるのでしょうがね。ちゃんと見たかったとこです。

2024年1月25日

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読書状況 観終わった [2024年1月25日]
カテゴリ 映画

「風を抱く」、「はた結び」、「百代の過客」、゛契り橋」のスピンオフ。

家を出た惣次のその後なんて興味深い。それだけでもっと長くドラマにできそうですが、特別巻上に4作入って短編です。

一番よかったのは「はた結び」かな。



「支配人さん、いえ、佐助さんに、お願いがあります」

桶を離し、襷を解くと、ちかは両の手をきちんと前で揃える。



ちかに話をするつもりだった佐助は、狼狽えつつも、 「何でも聞かせておくれやす」と応えた。

「さよ姉さんとあなたの間で切れてしまった糸を、私と結ばせて頂けませんか。 さよ姉の身代わりでも良い、私に心を向けてくださいませんか」

ありったけの勇気を振り絞ったのだろう、言い終えて、ちかは顔を歪める。

目の前の相手を、ぎゅっと抱き竦めたい、と思う。だが、ここは庭先といえど五鈴屋江戸本店だ。代わりに、佐助は両の手を拳に握って耐える。

「私から言わなあかんことを、おちかどんに言わせてしもた。堪忍してな」

小刻みに身を震わせている女へ、佐助は心から詫びたあと、言葉を繋いだ。

「さよの身代わりのはずがない。私はお前はんに、ちかに、ちかひとりに、ずっと心を向けてたんだす」

男の告白を受け、女は開いた両の掌で顔を覆い、その場に蹲る。指の隙間から嗚咽が洩れていた。

商いのほかには疎い佐助だが、己の想いが確かに相手に届いたことはわかった。

「はた結びで繋がれた糸は、結び目が嵩張らず、解けることもない。その糸を用いて味わいのある布が織られる――いつぞや、ご寮さんはそない言うてはりました」

女の傍らに身を屈めて、佐助は「ちか」とその名を呼ぶ。

「ちか、私はあんさんと、もう二度と解けることも切れることもない「はた結び」でご縁の糸を結ばせてほしいと思うてます」

返事をしてくれへんやろか、と男から顔を覗き込まれて、ちかは両手で顔を覆ったまま、強く強く、頷いてみせた。

道端 裏戸の方から、 わっと歓声が上がる。

驚いて声の方を見れば、狭い戸口に天吉と神吉、お梅にお竹、それに豆七までがぎうぎゅうになって、こちらを覗いていた。

「やっとだすなぁ、ほんま、やっとや」

「焦れったおました」

「支配人、男前だしたで」

互いに手を取り合い、やんやの快哉を叫ぶ。

「けっ」

佐助は思わず尻餅をついた。

「何時から何時から、そこに居てはったんだす」

裏返った声で問う支配人に、 手代は得意そうに「最初からだす」と答える。

ああ、と呆然と空を仰ぐ支配人に、皆の温かな朗笑が重なった。

2024年1月20日

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読書状況 読み終わった [2024年1月20日]
カテゴリ

12曲 40分 2023年7月31日

一曲一曲、違うサウンド、違うギター、違うコンセプトで作られていて気合のはいったギター・インストアルバム。完成度の高さが素晴らしい。

が、なんだか遠くにやってる芸術作品風でビシバシの攻撃してくるという感じではないんですよね。

2024年1月19日

読書状況 聴き終わった [2024年1月19日]
カテゴリ 音楽

ヒット作の『ポリス・ストーリー』の夢をもう一度と挑んで、今風にアップデートしなくてはと、バイオとか改造人間とかスターウォーズ風とか金をかけて挑んでるのだけど、ほぼどれも空振りしてるのが痛ましい。

こういう見当違いのとこで必死に映画作ってるのがジャッキー・チェンらしいいいとこだとも言えるかなと長年のファンとしては思います。

昔からジャッキー・チェンの映画はダサかった。でもそれがいい味わいで香港映画の魅力でした。ダサかったけど、ジャッキー・チェンはいつも一生懸命でそれでパワーをもらってました。

今はそのダサさが味わいにならずただダサいだけ。何が違うんだろう。時代かなぁ。もう香港って中国が奪っちゃってなくなっちゃいましたからね、もうこんな映画も作られないのでしょう。

この映画では、シドニー・オペラハウス屋上でのアクションに挑んでいます。トム・クルーズばりにがんばっているのですがね。
還暦過ぎのアクションなんですが、そうは見えません。

2024年1月16日

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読書状況 観終わった [2024年1月16日]
カテゴリ 映画
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