黒澤作品て、「世界のクロサワ」だのなんだの
評論家やオッサンらが昔から色々薀蓄を垂れるばっかりで、
なんだかそういうのは不健康だなあという感覚がすごくあります。
ビートルズとかも一緒ね。
映画好きの人なら世代関係なく観る人は観る、と。
特に映画好きでなくても皆名前は知っている。
けど、そういう人が観てみようってそんなに思うかなあ、
観るきっかけってあるかなあというのが疑問。
なんか、もうちょっと違う言い方や感触で
作品の面白さを伝えられねえもんかなあ、とよく思いますね。
黒澤作品は「単純に面白い」です。
大衆娯楽としての映画、映画としての面白さ。
娯楽活劇。アクションエンターテイメント。
映画はそもそも娯楽であり芸術なのだけど、
エンターテイメントを突き詰めるとものすごい芸術作品になった、
それが黒澤映画なんじゃないかな。
さて『用心棒』ですけど、
これはキャラクターがいっぱい出るのでその面白さがまずある。
東野英治郎とかほんと最高。(西村晃も出ててW黄門様)
あとは大体いつもの面子、所謂東宝の大部屋俳優さん達。
これが喜八っつぁんの映画やゴジラ・ウルトラシリーズも好きな人だと
横断的に出てくるので楽しいのです。
異彩を放ってるのはいつもの天本英世とw、
いつもの「よし、わかった!」の加藤武。
そして羅生門綱五郎という人。
「こんな骨格の地球人はいない。」
いや、おるってw
例の仲代達矢のピストルの件ですけど、
続編の『椿三十郎』とは時代設定が違ってて、
これは1860年代、幕末のお話なんですよね。
まあギリギリIfで成り立つかな、というところ。
しかも本物のS&Wの初期モデルを空砲で使ってるんだとか・・・?
(龍馬が使ってたやつとかあそこらへんの型)
あと、黒澤=パンフォーカスってよく聞きますけど、
奥行きがある町の路地で、
手前に東野英治郎からの~奥の敵ナメの~ミフネ、で
「あぁ~こういうことか!」とすごく実感できました。
ストーリーは、前半は静かに進んでいって延々状況説明をしてて、
後半からぐわーっと盛り上がってきます。
脱出シーンが燃える!!!
翻案された『荒野の用心棒』ってこんなんだったかなあ。
あまり覚えてないけど、似ても似つかんと思うんだけど・・・。
女が絡むんですよねえ、『荒野の用心棒』は。
あと樽がごろごろーってなってたような記憶しかないw
どっちかというと脱出シーンや棺桶は、
『続・荒野の用心棒(ジャンゴ)』に引用が見られるような。
あと、『荒野の用心棒』は長モノとリボルバーの対決が見所で、
そこにギミックがあるのだけど、どちらも飛び道具でしょ。
『用心棒』の方はピストルvs.刀で、ミフネどーすんじゃい!?
ってところに面白みがありますからねえ。
断然オリジナルの『用心棒』の方がおもろいです。
笑いがあるってのも大きいけど。
一箇所だけ嫌いな点は、最後の対決の後が長いこと。
でこれは続編の『椿三十郎』が最高。
どちらも方向性が違うのだけど、その点では『椿三十郎』の方が好きですね。
劇伴、BGMも最高。
というか音楽がいちばんクレイジーです。
- 感想投稿日 : 2013年6月5日
- 本棚登録日 : 2013年6月4日
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