井上靖の自伝的小説で,小学生時代を描いた「しろばんば」の続編にあたる小説.中学生になって親元をはなれてくらすちょっと気弱な洪作だったが,だんだんと1学年上のちょっと不良っぽいが,人間的魅力あふれる藤尾,木部などとまじわるようになっていく.それに比例して成績は下がっていくが,あまり気にせず自由奔放に生きていく.伊豆の故郷に帰って「しろばんば」の舞台で昔をふりかえる部分は感動的だ.「しろばんば」を読んでいるとそれだけますます.あと女の子に対する少年ならではの恥じらいの気持ちは昔の少年時代を思い出してやまない.最後のシーンで藤尾,木部らと土肥に旅に出る場面は,少年らのよむ詩にあわせて,洪作は舟の中,青空の下眠っていくが,なんとも美しい情景だった.
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井上靖
- 感想投稿日 : 2006年1月8日
- 本棚登録日 : 2006年1月8日
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