対決! 大学の教育力 (朝日新書 225)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2010年3月12日発売)
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2010/3/14 メトロ書店御影クラッセ店にて購入
2010/3/20~3/23

河合塾の教育研究調査をもとに各大学の教養教育課程での取組みを徹底分析した内容。大学新入生の学力をいかに伸ばすか、で大学の実力を測るべき、という著者の主張はもっとも。大学教員の多くが研究に主眼を置いており、教育、特に教養課程に相当する教育をしたがらない、という現状分析もその通りであろう。また、そういった部分に力を入れても大学教員としては評価されにくいというところもその通りであろう。後半で「対価がなければ大学教員も働かない。それでは単位が取りやすい、という理由で楽勝講義を選ぶ学生と変わりない」というような指摘があったが、それもその通りであろう。
 内容はいちいちもっともである。が、すべての大学がリベラルアーツ志向になっても日本の知力の低下を招くだけではないか?研究はトップ10に入る大学に任せてあとは、そこへ院生を送り込む予備大学になるべき、という議論もあるが、それはまた違うような気がする。以前にも書いたが、やはり大学名などで大卒者や院卒者を迎え入れる企業の意識など社会全体を変えていかなければ、教養教育への取組みも変わらないのではないか。
いずれにせよ、こういった内容が世間的に広く議論されるのは非常に良いことだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論
感想投稿日 : 2010年3月14日
読了日 : 2010年3月14日
本棚登録日 : 2010年3月14日

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