死刑廃止論者は必読。嫌な言い方をすれば、後半4分の1は娘を奪われた遺族の仇討ちのドラマ、犯人を合法的に殺す(死刑にする)作業の実況である。これを読んで犯人がかわいそうと思えるだろうか。
裁判というやつは、長い時間をかけてやっていくうちに、どんどん当事者の手を離れて裁判官や弁護士といった「プロ」の仕事になっていく。彼らの主眼はあくまで論理的に矛盾のない(後から他人に突っ込まれない)結論を導くこと。一般人から見ればしごくまっとうな死刑判決が「勇気ある判決」などと評価されるのは、裁判が一般人のものでないことを物語っている。著者は本作で弁護士を「職人」と呼んだ。カネをもらって頼まれたことをするだけの人、という意味だろう。
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- 感想投稿日 : 2017年5月31日
- 本棚登録日 : 2017年5月31日
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