レビュー by gordon9さん
筆者、志賀直哉がかねてより仲を悪くしていた実父と和解するという、まさに題そのままの物語。
あとがきによると、彼の有名な作品「暗夜行路」は長編であり失敗作と言われているそうだ。志賀直哉は短編に長けており、この和解もそのひとつである、と。なるほど物語として読むにはかなり味気ない感じはしたが、時代設定(というか時代そのもの)がかなり昔のもので、前提も常識、夫婦の関係、家族の関係も現在のものとは全然違うという点はかなり興味深く、短編としてはありだな、というものであった。
ただし、何度も作中で自らの体験を語っている様子を読んでいるうちに、しつこい、それはもう何度も聞いたよという思いをすることがあり、気持ちの述べ方もかなり主観的である。小説というよりは、彼が自ら過去を振り返る日記のようなものと考えていいかもしれない。書末の注が多く、それ以外にもわからないものが多い(当時どれだけ電話が普及していたか?車は?病院の設備は?こういうレベルである)ので、こういうものを調べたり想像したりするのが面倒な人には向かない。実際嫌いでなくともかなり難儀な思いをすることがある。
総じて、現代人としては教科書に載っているほどの古典的作品と思って読むのがよいと思う。
レビュー登録日 : 2011年07月23日
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