起用不可能と思えた往年のスター、グロリア・スワンソンに加えて、下降気味だったウィリアム・ホールデン、異彩を放つシュトロハイム、それぞれがまるで過去を投影した現在の自分自身を演じている。映画全体を司る鬼気迫る役者の演技が、素晴らしいの一言に尽きる。
この作品は是非、映画のバックボーンを知るべき作品。サイレント映画で活躍したスターたちを<ロウ人形><化石>と称した瞬間、観ているこっちがドキっとさせられた。少なくともグロリア・スワンソンとシュトロハイムとデミルの過去の関係性を理解すると、かなり面白い。
この年のアカデミー賞から見てもわかる通り、この秀作が3部門に留まったのは、やはり当時のお堅いアカデミー会員には相当気にくわない作品だったらしい。ハリウッド映画を内部からここまで皮肉ったから。しかし、映画愛に溢れた作品でもあると思うわけでして、ラストのスワンソンがじりじりとカメラに寄るシーンや、ウィリアム・ホールデンがプールに落とした命や、よく考えたら捨てきれない映画に対する執着心の顕われだと思う。「映画こそ私の人生」と語るノーマには心底泣ける。ハリウッドで生きる者への辛辣なメッセージとともに、それでも(大げさかもしれないけど)ハリウッドを捨てきれないワイルダーたちの映画愛を感じた。迫り寄るスワンソンとともにカメラがピンボケするラストシーンはなんとも最高でした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
洋画
- 感想投稿日 : 2014年4月5日
- 読了日 : 2014年2月18日
- 本棚登録日 : 2014年4月5日
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