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嗤う伊右衛門 (中公文庫)についてのhaereticusさんのレビュー


嗤う伊右衛門 (中公文庫) 1188人が登録 ★3.78

著者: 京極夏彦 
本 / 中央公論新社 / 381ページ / 2004年06月発売

レビュー by haereticusさん

京極夏彦   読み終わった  読了日 : 2010年11月21日  4  登録日: 2010年09月10日

綴り語られる言葉は淡々として陰鬱とは無縁であったが、そこにある「世界」はいっそ不快なほど生々しく、腹立たしいほど陰気だった。何よりもあちらこちらに芽吹いていた歪の芽が。

生まれてこの方、笑ったことがないと自ら公言する巌のような男と、岩より堅い、けれど混じりけのない烈火のごとき気性の女。
器用に生きられるはずもない。
それでも、もう少し時間があったなら…、詮無いことではあるけれど、今も思う。
一度芽吹いてしまったものはもはや刈り取るしかないが、単なる掛け違いであれば、今一度掛け直すこともできたはずなのだから。

ただ、喜怒哀楽ととんと縁のない男は、それでも笑って逝ったのだから、泣き面・渋面で見送るのは、やはり無粋なのだろう。


何は然れ、三つ瀬の河原で頬を張られてなければ良いな、伊右衛門殿。
女房の平手は、鬼のそれより効くぞ。 レビュー登録日 : 2010年11月23日


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