ピカソはほんまに天才か: 文学・映画・絵画… (中公文庫 か 2-3)

著者 :
  • 中央公論新社 (1991年6月1日発売)
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感想 : 6
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 評論集。絵画、広告、映画、彫刻、小説等々、幅広いジャンルにわたっての批評。あちらこちらに寄せた評論を後年に集めたようで、途中でピカソを絶賛するような文章があったのに、同じ本の最後では微妙に貶しているあたり、オイオイ……と思わないでもないけれど、末尾の日付を見ればその間に二十年ほどの開きがあった。人間、生きていれば感性も考え方も変化するものなので、それを責めるのは酷というものなのだろう。
 辛辣に切り捨てるものが七割、高評価して褒めるものが三割といったところか。さすがに書かれた時代が古くて、批評されている題材には知らないものが圧倒的に多いので、評論として楽しめたかというと、わりと微妙。知らない映画についての辛辣な批評を読んだところで感心や同意のしようもないし。(作者さんに肩入れするあまりに、なんとなくわかったような顔をして、鑑賞したこともない作品を貶したりするのは、ちょっと品のいい読み方ではないことだし……)
 しかし、時代のにおいを感じるという意味では楽しめた。絶賛されている絵画や俳優(の登場する映画)などは、機会があったら観てみたい気もする。また、開高健のファンだからこの人の人柄をもっと知りたいとか、そういう思いで読む分には楽しめると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ・コラム・実用書・評論・ノンフィクション
感想投稿日 : 2013年3月9日
読了日 : 2013年3月9日
本棚登録日 : 2013年3月2日

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