炭素14年代測定法の精緻化により、弥生時代は従来の考え方より500年早く始まることが分かってきた。その意味は、単に始まりが早いことにとどまらず、水田耕作が広がるスピードがかなり遅く、日本列島には異なるタイプの生業をベースとするいくつかの文化が広がっていたことが想定されるのだという。これまでの歴史観がくつがえされていくストーリーは、門外漢でもワクワクした。
よくよく考えると日本が同じ文化の下に置かれたのは、旧石器時代を除くと、明治以降に限られるという指摘も意外な点だった。その多様性が本格化した時代として弥生時代は位置づけられるべきだとする(p214)。ある文化と別の文化の間には「ボカシ」というべき、中間地帯を想定する考え方も興味深い。このあたり、中世・近世史の立場からも一考してみたい点である。
歴史人口学の立場からは、弥生時代の人口増加率を推計したp.200以降の章も気になる章だった。
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カテゴリ:
日本史
- 感想投稿日 : 2012年1月27日
- 読了日 : 2012年1月27日
- 本棚登録日 : 2012年1月22日
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