新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙II (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2017年3月10日発売)
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本棚登録 : 264
感想 : 19
4

ミューリのここがすごい!
・獣耳と尻尾がある
・変身できる
・「灰に銀粉を混ぜたような不思議な色合い」の毛
・しかも父譲り
・自分から告白する肉食系
・元気いっぱい
・悪知恵も働く
・涙を流すときは必ず計算ずく
・主人公の呼び方が「兄様」

ミューリのここがダメ!
・好きになった相手がダメンズ

2ヶ月前くらいに流行ってたのを使ってみましたw

ということで、新シリーズ2冊目。
相変わらずミューリは「夜寝る前に手に取って、どのページを開いても可愛いもふもふが飛び跳ねている」という作者の意図どおり、元気いっぱい飛び跳ねています。
対「兄様」ではない場面であっても、例えば教会に女性は入れないと遮った門番への対応とか、2回目にその門番と会ったときの対応とか、食べ物を目の前にしたときの食いつきっぷりとか、とにかく出番があればあっただけミューリの微笑ましい一面を見ることができるのに加え、禁欲の誓いを立てている朴念仁の「兄様」に対しては容赦なく好き好き攻撃を加え続けていて、たまにそれをコル坊にあっさりかわされて、それでも懲りないところまで、とにかく読んでいてうれしくなってきます。

ホロがいろいろと面倒くさい性格だったのと比べると、その元気いっぱいさは余計に際立ちます。自分たちのような存在は広い世界にもほとんどいないことを知っており、さらに人ならざるものと人とのハイブリッドである彼女は母よりなお寄る辺ない思いをしているに違いありませんが、そんな事情はめったに表に出しません。

その事情を知り、ミューリを世界で一人ぼっちにさせない存在が「兄様」。ですが、ホロと出会ったときはすでに一端の行商人だったロレンスとは違い、コル坊はまだまだワナビーです。頭でっかちで、ミューリに言わせると「世界の四分の一しか見えていない」。男性の、善意しかわからない、と指摘されています。今のところは優しいだけが取り柄の、夢見がちなダメンズです。
この巻では優しさは解決策につながりましたが、でも同時にミューリを生命の危機にさらすことにもなりました。「人ならざるもの」の力を神の奇跡に見せかける、というやり方しかソリューションを持っていないことも弱点です。今回は世界の四分の一だけを見て前向きな解法を思いつきましたが、このままではいずれは行き詰りそうです。

ミューリの「兄様」がダメンズで終わってしまわないよう、旅で経験を積んで成長した姿を見届けたいものです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 狼と香辛料
感想投稿日 : 2017年10月7日
読了日 : 2017年10月7日
本棚登録日 : 2017年3月10日

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