家康、江戸を建てる

著者 :
  • 祥伝社 (2016年2月8日発売)
3.95
  • (19)
  • (22)
  • (16)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 249
感想 : 31
3

皇居東御苑を散策後、江戸城に興味がわき、手に取ったのが、直木賞候補作、門井慶喜さん著「家康 江戸を建てる」です。

内容は、名もない役人や職人が、江戸を都市として整備していく江戸時代版プロジェクトXです。

利根川の流れを曲げたり

井の頭池から水道を引いたり

伊豆から巨石をはこんだり

青梅から石灰をはこんだり…

学問はないが経験豊富な職人と、技術者が、
適材適所に活かされ、どんどんと大工事がなされていく様は、爽快です。
私がもっとも感動したのは、天守閣を建てる意味。
秀忠は、平和の世の中に、天守閣は不要だ、といいます。しかし、家康は、天守閣は必要だ、と…。

理由のひとつは、天守閣建築のため、大名に大金を使わせ、勢力を衰えさせるため。ここまでは、秀忠も気づきます。
もうひとつの理由は、天守閣を白色にすることにより、それを平和の象徴とすること。

さらに町全体も、漆喰で白にすることにより、天守閣からのながめは、まさに平和一色。

家康は、それを各地の大名にアピールし、以後、漆喰を使用した白い天守閣は、スタンダードとなりました。

土地勘があれば、より楽しめる作品だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2016年8月3日
読了日 : 2016年8月3日
本棚登録日 : 2016年8月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする