皇居東御苑を散策後、江戸城に興味がわき、手に取ったのが、直木賞候補作、門井慶喜さん著「家康 江戸を建てる」です。
内容は、名もない役人や職人が、江戸を都市として整備していく江戸時代版プロジェクトXです。
利根川の流れを曲げたり
井の頭池から水道を引いたり
伊豆から巨石をはこんだり
青梅から石灰をはこんだり…
学問はないが経験豊富な職人と、技術者が、
適材適所に活かされ、どんどんと大工事がなされていく様は、爽快です。
私がもっとも感動したのは、天守閣を建てる意味。
秀忠は、平和の世の中に、天守閣は不要だ、といいます。しかし、家康は、天守閣は必要だ、と…。
理由のひとつは、天守閣建築のため、大名に大金を使わせ、勢力を衰えさせるため。ここまでは、秀忠も気づきます。
もうひとつの理由は、天守閣を白色にすることにより、それを平和の象徴とすること。
さらに町全体も、漆喰で白にすることにより、天守閣からのながめは、まさに平和一色。
家康は、それを各地の大名にアピールし、以後、漆喰を使用した白い天守閣は、スタンダードとなりました。
土地勘があれば、より楽しめる作品だと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2016年8月3日
- 読了日 : 2016年8月3日
- 本棚登録日 : 2016年8月3日
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