ネグレクト: 育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか

著者 :
  • 小学館 (2004年11月1日発売)
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4

三畳間の、わずかな空間に置かれたみかん箱大の段ボールの中に
真奈ちゃんは両膝を曲げた形で入れられていた。


直角に曲がった関節は固まっており、
2、3週間は動かしていなかったことを物語っていた。



死亡時の身長は三歳児女児として平均ほどだったが、
体重はわずか5キロ。
標準の13.6キロに4割に満たなかった。

胃内容物は20ミリリットル。大さじ一杯ほどの
茶褐色の粘液成分だけで固形物はなかった。



虐待をする親は
キレやすいとか、意地悪だとか、性格が悪いのかだとか
体罰主義なのだとか、攻撃的なのだとか、
そんな事じゃないのかなぁと思っていたのですが

全然違って、
真奈ちゃんを死なせてしまった父親も母親も、
この本で見る限りそんな攻撃的な人柄ではなくむしろ内公的で、
周りからの目を気にしていたり、繊細でデリケートな印象でした。

真奈ちゃんが生まれた頃は、
沢山写真をとって、とてもかわいがっていた。


けど二人とも子供のころから、
キツい家庭で育ってます。

もの心ついた頃からせまい、汚い部屋。
父から母への家庭内暴力、
両親からの虐待、離婚、帰ってこない親、極度の貧乏、など。。




その過酷さに圧倒されて正気を保ち生き延びるため、

辛い現実には
視覚や、感情にふたをすることを小さい頃に覚え
シャットアウトして生きて来た
真奈ちゃんの父親と母親。


だから真奈ちゃんの発育が遅れてきて、
どんどん体調がわるくなり、
一生懸命世話をしても上手く行かない育児の問題に
向き合って戦うことができずに


真奈ちゃんを重荷に感じた時、その過酷さに
シャットアウトすることを選んでしまったようでした。



虐待というのは
なんとなく手をあげちゃう、という問題ではなく

その人の昔からの育った環境など
深く深く深いところに原因があるのだなーと思いました。



私子供とか育てれんのかな〜っという軽い気持ちで読み始めたんですが
すごい記録書でした!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2010年1月10日
読了日 : 2010年1月10日
本棚登録日 : 2010年1月10日

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