女流阿房列車

著者 :
  • 新潮社 (2009年9月19日発売)
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2003年に宮脇俊三が亡くなったというニュースに驚いてから、もう10年以上にもなるのかと思うと、あらためて時の早さに驚く。巻頭を飾る「メトロな女」が小説新潮に掲載されたのは、まだその思い出が人々の旨に色濃く残っている2005年。宮脇俊三と同じ企画で、東京の地下鉄全線を一日 16時間半かけて乗り潰すという作品だ。しかし、酒井順子が内田百けんや宮脇俊三と異なるのは、その企画自体は新潮社の編集者が立てていて、自分は振り回される(のを楽しんでいる)だけというところ。『女流阿房列車』は単に著者の性別が女性であるということだけに留まらず、「ルールを引き擦り回すのではなく、ルールに引き擦り回される」楽しみを描いているという点で独特で、鉄道紀行のジャンルに新たな一ページを加えたと言える。久しぶりに宮脇俊三を読み返したくなった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 紀行
感想投稿日 : 2016年12月4日
読了日 : 2016年12月4日
本棚登録日 : 2016年12月4日

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