デンジャラス

著者 :
  • 中央公論新社 (2017年6月7日発売)
3.50
  • (22)
  • (60)
  • (71)
  • (15)
  • (2)
本棚登録 : 513
感想 : 69
5

主人公は酔夢の中で、自分自身を文学的な人=夢と現のあわいをいったりきたりする=小説の中に生きる人と位置付ける(谷崎潤一郎に語らせる形で)。小説の中に生きるということは現実の人生をコントロールできないということに繋がり、主体性がなく人に頼って暮らすということになるわけだ。
谷崎潤一郎の”家族王国”をメタモチーフとして用いるこの本では、谷崎が家族たちを小説のネタにする罪深さと、私たちが実在の人物を虚構のキャラクターとして消費する罪深さを2重に感じさせる仕掛けになっている。さらに谷崎ほどの文豪になら主人公のように物語に消費されてもよいかもしれないというほの暗い喜びを堪能できる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年10月3日
読了日 : 2017年10月2日
本棚登録日 : 2017年6月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする