この本が驚愕に値するのは、戦間期に書かれた本であるにもかかわらず、現代の政治的な状況に対しても当てはまりうる、的確な指摘がなされているところ。言葉としては表現されていないけど、ナショナリズム批判、特に知識人がそれに関わる(扇動する)ことへの批判なんだろうと思う。右傾化する現代の政治状況を憂う人たちにとっては、何か、発見のありそうな本だと思った。こういう手の本を読むと、いつも思うのは、知識人が仕えるべき“普遍的なもの”とはいったい何なのか、という疑問。ジュリアン・バンダはおそらく、それをキリスト教的な価値観に求めているところも、注目した。
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カテゴリ:
教育・教養
- 感想投稿日 : 2007年5月22日
- 本棚登録日 : 2007年5月22日
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