再読。「おれは世界中のみんなを愛している!」324人を理由なく殺した男は死刑執行の直前にそう叫んだ。…時空間的に超越した世界の中心、交叉時間(クロスホエン)。そこは外部の世界に向けて狂気を排出することで永遠の安寧が約束され、外部では排出された狂気のため殺逆が絶えない。住人である竜はその浄化システムに反撥し、結果その身ごと外部へと排出される。世界の中心で叫ばれた竜の愛は排出される狂気と混ざりながらあらゆる時代や場所へと伝播する…愛は自明の存在ではなく、暴力という暗闇の中でのみ儚く光る一つ星。それは他作品にも通底するエリスンのテーゼである。
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- 感想投稿日 : 2013年3月16日
- 本棚登録日 : 2013年3月16日
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