heronさんの本棚»
手当たり次第に読んだ本をメモ代わりに。ミステリ・文芸書・SF多目。漫画もよむよ 感想長めネタバレ注意
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めちゃくちゃ面白かった。
凄かった。
と、幼稚な言葉しか出てこなかったのが残念なくらい。
何度も何度も表現の妙にページをめくる手が止まったし、
発想力と連想の連鎖に思考を巡らせた。
朝倉かすみの描写の、リアルさと小説らしさ
そのありかたのバランスの取り方、それが非常に好みなのである。
あらすじ。
25歳風吹、何にも必死になろうとはしてこなかった女。
というとやけに嫌な女に聞こえるけれども、いわゆる「必死かっこわるい」というスタンスではなく、「待っていてもいいじゃない」くらいのもの。
その健全な水のような風吹が恋をしたのは、鍵屋だった。
旅行帰り、スーツケースの鍵が開かなくて
大家さんに紹介してもらった鍵屋。
一目惚れだった。
もっと見たい、声がききたい、風吹は彼女なりの勇気をふりしぼって行動を起こしていく。
その一つであるベリーダンス教室に通ったことで
風吹は自分の身体の存在を自覚し、
自分にはない美しさを持つベリーダンスの講師のヒロエ・Oが
自分の片思い相手である鍵屋と特別な関係にあることを知る--。
という感じです。
いやもう本当に、文章だけでも最悪読めちゃいます、
っていう文体フェチの方がどのくらいいらっしゃるか
私にはわからないんですが、
この本はそういう方にもうってつけです。
それでいて物語もおもしろいんだから、たまったものじゃありません。
お手上げです。
「鍵」というキーワードで
鍵を開ける、錠前を閉める、という展開になっていた時点で
もうぞくぞくしてたまらなかったのですが
鍵師の過去が語られるに至って
「ああ、これも鍵がかかっていた部分なのか」と気付きました
どれだけ意味を持たせるのか
どれだけ緻密に構成されてるのか
同じ表現の多用も目立つのですが、それが実に効果的なんです
かれの声を指してオブリカード、ハーモニクス
と風吹は陶酔するのですが、
それが回を重ねるごとに読者にも伝播してくるようで
いつのまにか私も陶然として風吹の前にいる「彼」を思うのです
風吹というのも変わった名前で最初は馴染みにくいな
と思ったんですが
中盤あたり、彼女が奮闘する章を読み終わったところで
「やったじゃないか風吹!鍵屋の錠前の間から風を吹かせたな!」と
彼女を拍手喝采して気付きました
鍵がかかっていても風は入り込むから風吹?
いや考えすぎかなあ
これは誰にでも勧められる本だな、と私は思います。
読んでいて静かに恋心に浸るとか、しんみりするとか、そういうのとは逆!
どんどんテンションが上がっていくんですね。
そうだよねそうだよねわかるよ!って、叫びだしたくなってしまう感じ。
とびきりのガールズトークを聞いているような感じでもあり、
王道の少女漫画を読んでいるようであり、
そのくせきっちり文学作品しているのですから、
ノックアウトされない筈がないですよね。
この本、ピカイチです。
朝倉かすみの中でも一位か二位を争うほど好きです。
2011年02月17日
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ここまでクオリティが落ちない漫画もめずらしい。
