短編集『ニート』に収録されている「愛なんかいらねー」で衝撃のアブノーマルっぷりを見せつけた乾が主人公。カミュ「異邦人」が参考文献に挙がっているように、ムルソー同様 肉親に対して情の薄い乾は、実家とは音信不通。パリに留学するも、美しい変態娘アイシャと狂乱を尽くしただけ。金貸しが趣味のヒモ…とことんクズの彼が初めて本気で人を好きになり、結婚する。しかし乾は「不愉快な本」にしか興奮出来ず、結婚生活は続かない。
近代美術館に展示されているジャコメッティの裸婦立像に魅了され、盗み出したそれをかわいそうな元同級生に託し「ああオレも太陽が見てえ」と逃亡し、たびの人になる乾。彼の行き着く先は…。
訳の分からない嘘つきなクズ野郎、なのに時々真理としか言いようのない言葉を言わせてしまう絲山さん。
「ボクだって腹は減るんだよ。でも手のこんだ料理はしたくない。だからお湯沸かしてカップヌードル食っちゃう」は、リアリティある。ユミコの立場なら悲しくなるけど…
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読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
悪い男。
- 感想投稿日 : 2014年6月29日
- 読了日 : 2014年6月29日
- 本棚登録日 : 2014年6月23日
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