すごく面白いSF小説でありつつ、論文のように様々なテーマ性を含んでいる。種としての人類、高度な文明社会を築き上げ世界を席巻しているその存在、しかし人類は完全じゃない…。登場人物達は未来の進んだ文明社会を生きる知識人達ばかりなんだけど、結局皆それぞれ世界の中での人類の立ち位置、人類の中での自分の立ち位置に悩んでる。そんな中で賢者であるナハティガルも賢者ではあるが聖者ではない、と言いながら主人公に自分の考えを述べてくれるんだけど、このナハティガルの考えが好き。賢者と言いつつ一番普遍的で原初的な考えなんだけど、それを賢者の考えとする作者さんの何ていうんだろう、優しさ?理性?を感じる。そして賢者との対話の中で考えながら最後に一つの答えを出す主人公もまた、作者の一面なんだと思う。とてもよく分かる。そしてその考え方が好きだ。読んでよかったです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2011年6月18日
- 読了日 : 2011年6月17日
- 本棚登録日 : 2011年6月18日
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