物語がスクランブルへ加速していくにつれ,死にゆく09の仲間たちへの淋しさが募っていく.それは読む前から分かっていたことだけど,一人また一人と消えていく過程を追うのは追うのは胸の痛む思いがする.
ボイルドは,09法のため,ひいてはウフコックのために尽くした.この物語のなかには,ボイルドがウフコックの味方で在り続けたという救いがあった.
「虚無と良心の訣別の物語」
これは,ボイルドという虚無と,ウフコックという良心の関係を物語っていたのかと思い知らされる.
本書を読んで,スクランブルの印象が大きく変わる.同時に,ボイルドがバロットへ託した言葉の重みが増す.
良心は,より良い使い手に託されたのだという思いが,スクランブル・ヴェロシティを読み通しての救いであり,ボイルドの本懐なのかもしれない.
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
書籍:小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2015年1月13日
- 読了日 : 2015年1月13日
- 本棚登録日 : 2015年1月13日
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