ユー ガッタ ラブソング 鳥飼茜短編集 (KCデラックス BE LOVE)

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著者 : 鳥飼茜
hibiki-cさん 講談社 BeLove   未設定

【デザイナーメモ】若くして3誌同時連載中という、たいへん勢いのある作家さんの初短編集。別作品(『おんなのいえ』6巻、川谷康久さんデザイン)と2か月連続発売ということで、明確に違うコンセプトを出してほしいという依頼だった。

読み込めばいくらでもコンセプトの種が出てくる作家さんで、アイディア出しには困らなかった。鳥飼先生の作品は「ストーリーの型から逸脱しようとするキャラクター」という点に面白さがあると思うので、何かしら逸脱をもったコンセプトということを念頭に置いた。

まず作家さんをまじえての打ち合わせで落描き程度のスケッチをもとにいくつかのキーワードを提案。そのなかから作家さんのひっかかったものを抽出して、イラスト・装幀案を作成した。提案したキーワードには「化粧・仮面」「鏡」「人形」「暴力」など、装幀案には「ヴェール」「万華鏡」「レイヤー」などがあった。

カバーの色数を減らしてメタリックを使う提案や、表紙を4色刷にする構想などもあったが、最終的に色数は減らさず、元から使える蛍光をフィーチャーしていく案に決まった。モチーフは女の子がショットガンを構え、男の子が逃げるというもので、キューピッドの矢を物騒にしたようでもあり、男性に対する女性の怒りを表しているようでもある。散弾のかわりに飛び散るジェリービーンズが「ラブソング」という見立て(デザイナーの腹の中では)。

イラストは最初から色をいじる許可をいただいて描いてもらい、スキャンしてスカート・髪・肌色……等々とパーツごとに切り分けたうえで、Photoshop上で蛍光ピンク(KP)を中心に色を置き換えていった。肌色の部分はC版を削除してM版をKP100+M20に分ける、スカートや銃はM版とY版を削除したうえでC版をKP100+M20に変換する……等々。

無数にあるジェリービーンズは使わなかったものも含めると200点近くあり、スタッフが地道にデータ作成している。ハイライトを全部左上で揃えるためだけに相当な苦労をした。色の操作には新規登録のPhotoshopアクションを10以上作成。少しずつ形の違う大量のビーンズの画像を一気に開くと次々現れるウィンドウがパラパラ漫画と化して、尺取り虫のように這うビーンズが印象的だった。

配色は蛍光ピンクのケミカルな鮮やかさを引き立たせるための対比ということと、既刊にかぶらない色ということでグレーを選んだ。K版ではなくC・M・Yの掛け合わせなので非常にきめが細かい(マットPPの効果も大きい)。掛け合わせのグレーを3版等量にすると少々暖色に転ぶが、その味が好きでたまに使っている。

というようにいろいろ考えながら作ったが、最終的には鳥飼先生の描く女の子の生気とエロかわいさがメインディッシュであり、それがシンプルに伝わってくれればと考えている。たくさんの人に手に取ってもらいたい。(カバー、オビ、表紙、トビラ、本文記事その他を担当)

レビュー投稿日
2015年9月11日
本棚登録日
2015年7月24日
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