決定版 インダストリー4.0―第4次産業革命の全貌

著者 :
  • 東洋経済新報社 (2015年9月18日発売)
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感想 : 7
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インダストリー4.0の日本における第一人者との著者だが、少し浅い内容でがっかりだ。
直近の動向をドイツ・アメリカの視点から整理している点は非常に評価できる。しかし、幾つかの重要な点では明確な解説がなされていない。
「ファクトリーオートメーションとは違う」というがその差異を明確に認識しているとは思えない。製造業におけるSCMの知識や、製造工程の知識については著者は知識がないように思えて仕方がない。完成品または半完成品を作るメーカーと、ネジなどの部品や素材を作るメーカーではそもそもこれに対応する考え方は異なってくるだろう。中小企業にもメリットがと繰り返すが、中小企業で完成品や半完成品を製造している企業の方が圧倒的に少ない。ネジを一本ごとにカスタマイズして作る未来は考えられない。ある程度マスプロダクションに成る分野と、カスタマイズプロダククションになる分野が、よりカスタマイズプロダクションに傾くことはわかるが、マスプロがゼロになることはない。
資本関係を超えた工場の連携というが、現状でも自動車業界での系列取引や、Vender Management Inventryなどは広く用いられている。この辺りも深く掘り下げて欲しかった。現状と一体何が違うのかと。

また、人工知能におけるディープラーニングの話を無理に絡めてくるのはどうなのだろうか?最近のトレンドであることは否定しないし、世界はその方向に動いている。しかし、バズワードを単に組み合わせたような何の分析も加えられていない論考に何が価値があるのだろうか?日本ではロボットを受け入れられている文化がある?それは子供の遊び・娯楽のフィクションレベルのはなしで、現実にロボットが出現して日本人が受け入れるかどうかは別問題だ。(AIBOのことを念頭に筆者は書いているのかもしれないが、あれは玩具だ。2015年現在で言う所の狭義のAIではない。)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2015年11月23日
読了日 : 2015年11月23日
本棚登録日 : 2015年11月22日

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