社会主義 (講談社学術文庫)

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制作 : 浜島 朗 
hideoz311さん  未設定  読み終わった 

ブルジョアの代表と黙されるマックス・ウェーバーが社会主義をどう考えているかを吐露した講演。ロシア革命後、その影響が強く及んでいたドイツ・オーストリアにおいて、独ソ講和条約を結んだことで懐疑的になっているオーストリア将校に対して行った講演である。

非常に興味深い。
ウェーバーはマルクスの指摘を傾聴に値すると言っていて、生涯に渡りかなり意識していたようだ。一方で、マルクスの指摘は資本主義に対する予言(衰退するという予言)に過ぎないとし、革命思想やそれに従事する現実の共産主義者自身の矛盾について、かなり見事に論破している。思想としては認めつつも、現実の共産主義者を否定し、資本主義にその思想や計画性を取り入れる方向を目指している。
実際に、今の政局における資本主義陣営と社会主義陣営は、各々の振れ幅の中で、ほとんど類似した状況となっていて、単なるトーンやイメージの違いに過ぎなくなってきている。

ウェーバーの主張の骨子は、いずれの制度を選択した場合においても官僚制を採択することになるので、共産主義においても人による人の支配はなくならないということであり、共産主義の名において独裁が成立することは、歴史が証明している。
すなわち、社会主義政党という政治の専門職となった時点で、「人による人の支配がない世界」は自己矛盾を起こしている。
また、実際にこれらの政党の活動を観察してみると、掲げる理想の過激さに対して支持を集めるために穏健で堅実な政策を打ち出さざるを得ないため、意味をなしておらず、過激な革命思想家は単なるロマン主義に終わっていて危険である。ということであり、ウェーバーは、穏健派社会主義者とは交流したが、革命思想家の活動については、徹底的に批判したようである。
一方で、労使が対等の立場に立つことを重視しており、特に労働者が市民としての自覚を持って意見を持つことが重要であると主張している。

民主主義の立場から見ると、いずれの制度においても、権威や権力に盲従する民衆がいる限り、公や国の名のもとに、良い意味でも悪い意味でも為政者の力量に応じた独裁が成立しうるということだろう。

レビュー投稿日
2017年9月25日
読了日
2017年9月25日
本棚登録日
2017年9月16日
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