大阪船場の旧家にいた美女4姉妹の日常生活が、船場言葉で絢爛に描かれた小説。昭和10年代のありようが、徐々に落ち行く上流階級の4姉妹各々の生き様を通して伝わってくる。物語はとりわけ、芯は強いが当世風に馴染まず内気な三女の雪子を軸に進む。ぐずぐずと煮え切らない面には幾度も苛立ったけれど、そのゆったりとした時間感覚で四季折々の行事を楽しめる。何より一貫して爽やかな印象なのは、意見が異でも仲違いはしない、上品な血の繋がりが根底にあるからだろう。だからこそ、終わり方に衝撃を受けた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説・その他
- 感想投稿日 : 2017年1月1日
- 読了日 : 2017年1月1日
- 本棚登録日 : 2017年1月1日
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