「失敗学」事件簿 あの失敗から何を学ぶか

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  • 小学館 (2006年3月15日発売)
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感想 : 6
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「事件簿」と銘打ち、社会的問題となった事故をたくさん取り上げて、分かりやすいものとなっている。
仕事の現場を顧みても、毎日、毎年が失敗の連続である。
そんな中で、失敗が活かされているかといえば、逆に同じような失敗を繰り返してなにも前進してない、ということが多くはないだろうか。
最近はマネジメントシステムをとりいれる組織も多く、PDCAという言葉は知れ渡っているが、継続的に改善が進んでいることはまれである。
それは失敗、あるいは未達成の原因究明をとことん突き詰めず、不十分なままの原因特定で、形だけの再発防止処置に終始しているからではないか。
本書にあるように、「失敗をしゃぶりつくす」姿勢で臨めば、一時の失敗は「成功の母」になるのかもしれない。
個人の不注意→マネジメントの欠陥→会社の体質→行政の怠慢→社会システムの不適合・・・・・など、失敗の原因に階層性があり、また、人間は失敗するものという前提で考えれば、改善の糸口はもう少しつかみやすくなるのではないか。

本書にあげられた事例は、メカニカルな事故が中心だが、マネジメントの失敗、政治の失敗など、様々な分野で分析してみても面白いと思う。

そういった意味では、巻末対談として、セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文会長との対談もおもしろかった。
業種はちがっても、問題解決の方法は基本的に同じなのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マネジメント
感想投稿日 : 2010年10月23日
読了日 : 2010年10月23日
本棚登録日 : 2010年10月23日

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